2014 Fiscal Year Research-status Report
人工ナノ細胞創製 -水中物質反応in-situ高分解能TEM観察への展開-
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25630269
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
石黒 孝 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (10183162)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオマテリアル / 水 / TEM / リポソーム / DPPC |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では真空中・電子線照射下で、より強靭なナノスケールのリポソームカプセルを合成し、内部に物質を導入し、水中反応・結晶析出反応の現場を高分解能電顕観察することを目的としている。具体的には水溶液を内包したリポソームカプセルに生起する物質反応を真空中に持ち来し、その場観察を行う。そのための課題は、①高分解能観察に適した大きさのナノ・リポソーム実現.②電子線照射に対する耐久性の向上.③ナノ・リポソーム中に物質を導入した人工ナノ細胞の創製.である。 平成25年度はまず、金属ナノ粒子の形成とその捕獲方法を検討するために、イオン液体を基板として用いて金のスパッタリングを行い比較的粒径分布の狭いナノ粒子の作成に成功し、さらにリン脂質(DPPC)にコレステロールを混合し、自己組織化による、いわゆるバンガム法によりリポソームを合成した。 平成26年度にはDPPC+コレステロールの混合系に対して温度を制御した透過赤外分光分析を行い、CH2伸縮振動及びH2O伸縮振動の吸光度変化を検出し、コレステロール導入による低温のゲル相から高温の液晶相への相転移に伴う変化を捉えることに成功した。コレステロール量増加に伴い相転移点近傍の吸光度変化がステップ状変化からなめらかな変化へ移行することが明らかとなった。また、水を含んだリポソームの電子顕微鏡内における変化を捉え、食塩水を内包したリポソームにおいては食塩結晶の析出過程をその場観察することに成功した。更に本科研費にて高感度の質量分析器をtop-entry型電子顕微鏡に装着し、検出感度について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人工的に作製したリポソーム中に水もしくは水溶液を内包していることを確認できている。今後は放出粒子の同定により傍証を行うとともに、溶液中反応観察の実施例を増やしてゆきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度までの結果を踏まえて実験の再現性を確認すると同時に、リポソームからの放出粒子の検出をTop-entry型の電子顕微鏡からSide-entry型の電子顕微鏡に装着変更して実施し、電子線照射による放出粒子の同定を行う。そして以上の結果を総括して研究をまとめる。
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Research Products
(3 results)