2015 Fiscal Year Annual Research Report
人工ナノ細胞創製 -水中物質反応in-situ高分解能TEM観察への展開-
Project/Area Number |
25630269
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
石黒 孝 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (10183162)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオマテリアル / 水 / TEM / リポソーム / DPPC / リン脂質二重層膜 / コレステロール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では真空中・電子線照射下で、より強靭なナノスケールのリポソームカプセルを合成し、内部に物質を導入し、水中反応・結晶析出反応の現場を高分解能電顕観察することを目的とした.具体的には水溶液を内包したリポソームカプセルに生起する物質反応を電子顕微鏡の真空中に持ち来し、その場観察を行う.そのために・高分解能観察に適した厚さのナノ・リポソーム実現し、電子線照射に対する耐久性を向上させ、ナノ・リポソーム中に物質を導入した人工ナノ細胞の創製が必要である. 平成25年度には、リン脂質(ジパルミトイル・フォスファチジルコリン; DPPC)にコレステロール添加量を変化させてリン脂質二重層ラメラ構造を作製し、この結果を踏まえてバンガム法によりリポソームの合成プロセスを検討した。加えて水溶液の透過赤外分光を行うための光学セルの作製に着手した。 平成26年度には、リン脂質二重層ラメラ構造の温度安定性を透過赤外分光法により評価し、相転移点の検出とコレステロール添加量により相転移点が消失することを確認した。そしてリポソーム作製条件の最適化を行い、食塩水中で合成したリポソームの観察に成功した。加えて既存の透過型電子顕微鏡に本科研費にて購入したイオントラップ質量分析計を装着し、電子線照射に伴う飛散粒子の検出システムを構築した。 平成27年度には水、食塩水、CdI水溶液、等を内包するリポソームに対してその場電顕観察を行い、電子線照射に伴う溶液の揺らぎ、放出水分子の検出、脱水に伴う単結晶成長を確認した。 以上の結果、電子顕微鏡内の真空でもコレステロール添加により強化したリポソームは確かに水を内包して存在しており、溶液中反応の観察環境を提供し単結晶成長の場となることを確認した。
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Research Products
(2 results)