2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25630275
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
多々見 純一 横浜国立大学, 環境情報研究院, 教授 (30303085)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メカノルミネッセンス / トライボルミネッセンス / 窒化物 / 蛍光体 / 窒化アルミニウム |
Research Abstract |
今年度は、ZnSやSrAl2O4と同じウルツ鉱型構造を有する蛍光体であるMn添加AlNセラミックスに着目し、メカノルミネッセンスの一つであるトライボルミネッセンスについて検討することを目的とした。 原料粉体としてAlNとMnOを用いた。これらをモル比で99.8:0.2となるように湿式混合した後、1850℃、2時間保持、N2雰囲気、15MPa加圧の条件でホットプレスした。焼成後の試料表面を研削加工して試験片とした。この試験片とアルミナボールを用いて、ボールオンディスク試験を行った。ボールオンディスク試験の条件は、回転半径2mm、荷重5N、すべり速度10cm/sとした。この時の摩擦面からの発光を光電子増倍管で検出した。 作製した試料の構成相はAlN単相であり、Mnを含む第二相は現れなかったことから、MnはAlN中に固溶したものと考えられる。この材料の発光および励起波長は約600nmであった。ボールオンディスク試験開始と同時に強い発光が観察された。ボールオンディスク試験における摩擦係数を測定した結果、ボールオンディスク試験開始とともに、摩擦係数は0.1程度の値を示した。また、フォトンカウント数を同時測定したところ、時間の経過とともにフォトンカウント数は減少し、摩擦係数は増加した。しばらくの後、フォトンカウント数と摩擦係数は一定値を推移した。ボールオンディスク試験を終了してディスクの回転を停止したところ、フォトンカウント数は試験開始前とほぼ同程度の値に減少した。ボールオンディスク試験前後の試験片表面のレーザー顕微鏡観察の結果、ボールオンディスク試験の時間経過とともに、軌道面の幅が広くなり、試験前に存在していた試験片表面の凹凸が減少して比較的平坦な摩耗面へと変化していた。このような摩耗面の変化がフォトンカウント数の時間依存性の要因であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、摩擦摩耗試験機と新たに導入した光電子増倍管を用いて、窒化物セラミックスのメカノルミネッセンス評価のためのトライボルミネッセンス測定装置を立ち上げ、摩擦摩耗に伴う発光を定量的に測定できることを明らかにした。さらに、発光強度は印加した荷重に依存することも明らかにしており、今後、発光メカニズムの解明や他の窒化物セラミックスにおけるメカノルミネッセンス評価のために、有意義な結果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、、Mn添加AlNセラミックスを用いて、トライボルミネッセンス評価に及ぼす表面状態の影響についても検討を行っていく。特に、AlNは六方晶であることに起因して特性に結晶方位依存性があることから、磁場中成形法などによる配向制御を行った試料も用いて、その発光メカニズムについて明らかにしていく。さらに、他の窒化物セラミックスについても同様の評価を行い、新たなセンサ材料としての探索も進めていく。
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