2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25630284
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三宅 通博 岡山大学, 環境管理センター, 教授 (30143960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀島 欣一 岡山大学, その他の研究科, 准教授 (50251616)
西本 俊介 岡山大学, その他の研究科, 助教 (90435826)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リフォーミング触媒 / ニッケル / 触媒担体 / 酸化物イオン伝導体 / ペロブスカイト化合物 / バイオエタノール / バイオガス |
Research Abstract |
本研究では、Ni触媒を用いたバイオエタノールやバイオガスのリフォーミング時に生じる炭素析出反応の抑制を目的とした新規触媒材料の開発を行っている。すなわち、高速酸化物イオン伝導体を担体として用いた触媒材料の開発を行っている。 1. Ni触媒の担体として、酸化物イオン伝導体であるランタンガリウム系酸化物(LSGM)、ジルコニア系酸化物(YSZ)、セリア系酸化物(GDC)、および比較としてコランダムを用い、エタノールのリフォーミング反応における炭素析出抑制性能を評価した。その結果、Ni/LSGMにおいては、LSGMの酸素欠陥量が多いほど炭素析出量が減少した。10時間反応後で、Ni/コランダムでは析出量が約70 mass%であったのに対し、欠陥量が最も多いLSGMを用いたNi/LSGM8282では約8 mass%であった。更に、Ni/LSGM8282は水素収率も最も高く、高い活性を示すことが分かった。しかし、Ni/YSZ、Ni/GDCでは、担体の酸素欠陥量の増加による炭素析出抑制効果が明確に見られなかった。この原因の一つとして結晶構造の違いが考えられる。 更に、Ni触媒の担持方法についても検討した。その結果、Ni有機金属化合物を用いることで、微粒子の触媒を高分散に担持することができ、リフォーミング触媒性能を向上させることができた 2.高い酸化物イオン伝導性をもつLa0.8Sr0.2AlO2.9を合成し、モデルバイオガス(CH4 + CO2)リフォーミング触媒性能をNi/LaAlO3、Ni/BaTiO3と比較した。その結果、Ni/BaTiO3 > Ni/LaAlO3 > Ni/La0.8Sr0.2AlO2.9の順に析出炭素量が減り、担体の酸素欠陥が炭素析出抑制に有用であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペロブスカイト構造のランタンガリウム系酸化物(LSGM)については、酸素欠陥量が多く、酸化物イオン伝導度が高いLSGM8282を触媒担体に用いることで、炭素析出を最も抑制でき、触媒活性を高めることができることが分かり、ほぼ計画通りに進捗した。 蛍石型構造のジルコニア系酸化物(YSZ)とセリア系酸化物(GDC)については、酸素欠陥量に伴い触媒性能が向上した。しかし、炭素析出抑制効果との間には明確な関係を見いだすことができなかった。次年度再検討をする予定である。 ストロンチウム含有ランタンアルミニウム酸化物(LSA)については不純物の無いものを合成するのに予想外に時間を要した。しかし、作製に成功しているLa0.8Sr0.2AlO2.9を触媒担体に用いることで、LaAlO3を用いた場合と比較して、析出炭素量が減り、担体の酸素欠陥が炭素析出抑制に有用であることが分かった。ほぼ計画通りであるが、酸素欠陥量のより多いLSAを次年度作製する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.平成25年度の研究を継続する。すなわちランタンガリウム系酸化物(LSGM)、ジルコニア系酸化物(YSZ)、セリア系酸化物(GDC)、およびランタンアルミニウム系酸化物(LSA)を担体に用い、バイオガスに対する炭素析出抑制効果および触媒性能を平成25年度と同様な方法で検討する。 2.上記に加え、イオン・電子混合伝導体を担体とした触媒のリフォーミング性能を評価する。すなわち、酸化物イオン・電子混合伝導特性に優れ、酸素透過膜、固体酸化物燃料電池カソード材として有望な材料として知られる層状ペロブスカイト化合物Ln2NiO4 (Ln: 希土類)を既報に基づいて作製し、触媒担体として用いる。他の担体の場合と同様に、触媒試料の調製・評価および触媒性能の評価を行い、リフォーミング各温度における電気伝導特性(文献値)と触媒性能とを比較し、触媒担体の酸化物イオン・電子混合伝導特性が触媒性能及び炭素析出に与える影響を明らかにする。さらに還元雰囲気における化学的安定性評価を水蒸気改質反応試験後の試料についてXRD、XPS測定により行う。 3.検討した化合物の中で、炭素析出抑制効果が認められるものを造粒し、多孔性の異なる触媒担体に調製する。前項と同様に、触媒試料の調製・評価および触媒性能の評価を行い、触媒担体の多孔性が触媒性能及び炭素析出に与える影響を明らかにする。 4.研究申請期間で得られた成果を総括し、新規バイオエタノールおよびバイオガス改質触媒設計指針を確立する、と共に今後の展望を明示する。
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Research Products
(2 results)