2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25630285
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
辰巳砂 昌弘 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50137238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 晃敏 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10364027)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 全固体電池 / 固体電解質 / メカノケミストリー / ナトリウム電池 |
Research Abstract |
全固体ナトリウム電池の電極複合体の作製について検討した。電極活物質としてa-TiS3、固体電解質としてNa3PS4ガラスセラミックス、導電剤としてアセチレンブラック(AB)を40:60:6の重量比で混合することによって電極複合体を得た。得られた電極複合体を正極に、Na15Sn4合金を負極に用いることによって作製した全固体セルが室温で二次電池として作動し、従来検討してきたTiS2に比べて大きな約300 mAh/gの容量を数サイクル保持することがわかった。硫黄含量の大きな遷移金属硫化物を活物質に用いることによって、遷移金属のレドックスに加えて硫黄のレドックスも利用できたために、高容量が発現したと考えられる。一方、ABを添加していない電極複合体を用いた全固体セルでは急激なサイクル劣化の生じることがわかった。充放電後においては正極由来の抵抗成分が増加しており、正極層のSEM-EDX分析の結果、活物質と電解質間の接触性の低下が観察された。よって正極層へのABの添加が、充放電時の電極-電解質界面維持に有効であることが示唆された。また、Na15Sn4とABのボールミリング複合体を負極に適用することによって、負極由来の抵抗成分が減少し、全固体セルのレート特性の向上が見られた。Na3PS4に比べて高い導電率を示す94Na3PS4・6Na4SiS4(mol%)ガラスセラミック電解質の適用も、全固体電池のレート特性向上に効果的であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全固体ナトリウム電池の特性向上にむけて、電極複合体の導電剤の有無が、電極層の微細組織や充放電特性に及ぼす影響を明らかにした。体積変化の大きな硫黄系正極活物質や合金系負極活物質を用いる際に、炭素系導電剤が充放電時の界面コンタクトロスの低減に有用であることを見出し、電極複合体の設計指針の一つを示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
活物質のより一層の高容量化を図るためには、電極活物質や固体電解質の微粒子化や、両者のナノレベルでの複合化が重要となる。湿式プロセスや自己形成手法を含めた様々な複合化手法を用いて、全固体ナトリウム電池の特性向上を図る。電極複合体中における活物質や電解質のサイズやモルフォロジー、界面接合状態について調査するために、TEMやSEM観察を行う。複合体のモルフォロジーと電気的特性の関係について交流インピーダンス法を用いて検討する。また充放電後の電極活物質の構造や電子状態について、X線回折やRaman分光、X線光電子分光を用いて明らかにし、全固体セルの充放電反応機構について調べる。得られた知見を基に、全固体セル構築に適した、電極複合体の構成要素、組成、形態、混合手法について設計指針を示す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究当初は大学院生に支払う謝金を想定していたが、結果的には必要が無かったため、残金を次年度に繰り越すことにした。 次年度の研究の一部を大学院生に担当してもらうことを想定しており、謝金として使用予定である。
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Research Products
(4 results)