2015 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン伝導性ガラスファイバーのナノ先鋭化による局所H+注入技術の開発
Project/Area Number |
25630286
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
大幸 裕介 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70514404)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | プロトン伝導性ガラス / イオン放出 / プロトン注入 / 燃料電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までにプロトン伝導性ガラスのファイバー化およびメニスカスエッチング法による先鋭化(1μm以下)と、自作のイオン電流測定装置によるイオンの電界放出(イオン電流)を確認した。メニスカスエッチングによって先鋭化されたガラスファイバー先端の形状は、HF濃度やエッチング溶液への浸漬時間によっておよそ3˚~20˚まで変化した。また、EDS 分析よりエッチング処理前後でガラスファイバーの組成に変化の無いことを確認した。実際のH+被照射面積は正確に定量できていないことから、引抜き電極の穴径 (直径 3.5 mm)で電流値を規格化して計算している。電界強度の増加に伴いイオン電流が指数関数的に増加する典型的なイオン放出挙動を高い再現性で確認することができ、イオン電流値は550℃において400 pA/cm2程度と算出された。自作のチャンバ-は2室構造で前室に水素ガスを供給することで、燃料電池のアノード反応と同様に水素ガスから解離したH+がガラスファイバーに供給される。一定加速電圧(@4 kV/cm)において、数日間安定にH+連続放出が可能であることも確認した。H+を高分子膜(ポリアニリン)に対して照射した前後の構造変化を赤外線分光法を用いて調べた結果を示す。H+を照射することで、2重結合C=Nやベンゼン環に帰属されるピークは大きく減少し、この部分の結合が開裂したことを示している。他方、プロトン付加と思われるN-H結合およびC-N結合の増加が確認された。この結果よりプロトン伝導性ガラスファイバーからH+が放出していることを実証した。
|