2013 Fiscal Year Research-status Report
高耐食性材料不働態表面ヘテロ変化の超高速偏光反射その場観察
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25630288
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伏見 公志 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20271645)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 材料加工・処理 / 表面・界面物性 / 不働態 |
Research Abstract |
局部腐食の萌芽過程の発現場所を特定するため、時間応答性に優れた不働態皮膜可視化電気化学測定法(その場電気化学偏光反射顕微鏡)を開発する。リアルタイムで電気化学界面反応にともなう表面形態変化を観察し、これと同時に不働態皮膜の厚さ分布変化を追跡する。その発生場所を特定できないために全く解明されていなかった局部腐食、特に孔食の萌芽過程の反応機構と速度論の解明し、高耐食性金属材料の余寿命予測への応用を目指す。 本年度は、超高速偏光反射顕微鏡を作製した。申請者の研究室に既存する532.0nm の単色光光源-λ/4 偏光子-グラントムソンプリズム(位相補正子)-試料表面-λ/4 検光子から構成される縦置き型の消光型エリプソメーターに、三電極系の電気化学セルおよびテレセントリックレンズ-超高速・高解像度CCDカメラを組み込んだ。計測制御ソフトウエアのプログラミングを行い、試料電極の電気化学測定と同時に、まずは120Hz の時間分解能、数10μm の位置分解能での偏光反射顕微鏡観察を実現した。 酸化皮膜で覆われた純チタン電極を、硫酸酸性水溶液中、臭化物イオンを含む硫酸水溶液中、325nm紫外光照射条件下でアノード分極した際の、電極表面の変化、不働態皮膜の変質過程をその場偏光反射顕微鏡観察と電気化学測定により追跡し、不働態保持電流の増減から酸化皮膜の局部薄膜化・局部劣化の反応機構と速度論を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超高速偏光反射顕微鏡を作製した。申請者の研究室に既存する532.0nm の単色光光源-λ/4 偏光子-グラントムソンプリズム(位相補正子)-試料表面-λ/4 検光子から構成される縦置き型の消光型エリプソメーターに、三電極系の電気化学セルおよびテレセントリックレンズ-超高速・高解像度CCDカメラを組み込んだ。計測制御ソフトウエアのプログラミングを行い、試料電極の電気化学測定と同時に、まずは120Hz の時間分解能、数10μm の位置分解能での偏光反射顕微鏡観察を実現した。 酸化皮膜で覆われた純チタン電極を、硫酸酸性水溶液中、臭化物イオンを含む硫酸水溶液中、325nm紫外光照射条件下でアノード分極した際の、電極表面の変化、不働態皮膜の変質過程をその場偏光反射顕微鏡観察と電気化学測定により追跡し、不働態保持電流の増減から酸化皮膜の局部薄膜化・局部劣化の反応機構と速度論を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、チタン合金の局部腐食萌芽過程を検討する。チタンの酸化皮膜はn 型の半導体的性質を示し、そのバンドギャップエネルギーはEg=約3eV である。このEg はHe-Cdレーザー(λ=325nm)による電子励起を許容する。そこで、その場電気化学偏光反射顕微鏡を紫外光照射可能に改良し、紫外光照射の影響を精査する。 さらに、SUS304ステンレス鋼を研究対象し、チタン合金の検証実験に倣い不働態皮膜の厚さ、不均一形成などを測定する。ステンレス鋼上に形成する不働態皮膜は厚さ数nm と非常に薄い。消光型偏光反射顕微鏡として結像するのに必要な露出光量は、時間分解能および面解能と相反するので、本法の適用限界を見極める他、紫外光励起あるいはハロゲン化物イオンの攻撃に起因する不働態皮膜劣化挙動を検討し、局部腐食萌芽過程の電気化学解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、超高速・高解像度カメラの導入を予定していたが、予算内で仕様を満たすカメラを導入できなかった。代わりに、多少仕様の劣る安価なカメラを導入したために、使用額に差が生じた。 最新版の超高速・高解像度カメラの導入を検討する。または、光学系に組み合わせるレンズ等光学素子により、目的仕様に可能な限り迫る偏光反射顕微鏡の導入経費に使途する。
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Research Products
(3 results)