2013 Fiscal Year Research-status Report
格子欠陥転位を利用した量子細線の導電化と自己組織化
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25630291
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
着本 享 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 講師 (50346087)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 表界面 / 薄膜 / 格子欠陥 / 多結晶 |
Research Abstract |
本研究では、電気的に絶縁体や半導体であるセラミックス内の一次元格子欠陥である転位の配列に沿って金属などのドーパント機能元素を導入して、導電性を有する細線を形成して固体中への埋め込み型配線や透明導電性基板などの作製を目標としている。特に薄膜作製プロセスを用いて、基板法線に対して結晶方位が揃った二軸配向のセラミックス薄膜材料を作製し、高密度な結晶粒界に上記細線の作製を目指す。 初年度(平成25年度)は、従来のセラミックス単結晶を用いたバイクリスタル(双結晶)合成法を用いた直線的かつ周期的な転位構造組織化より脱却して、スパッタ蒸着法など気相成長法を用いて安価で大口径化が可能な石英ガラス基板上への二軸配向薄膜材料の作製を行った。セラミックス材料として、バイクリスタル合成法でも用いた酸化マグネシウムと二酸化チタンを適用した。基板加熱温度や成膜雰囲気(ガス種や流量、圧力)を変化させ、これら成膜条件に対する薄膜の結晶性(結晶構造や結晶方位、配向性など)への影響についてX線回折法を用いて調べた。室温(基板加熱無し)成膜において、二酸化チタンは基板構造と同様に非晶質であり、核生成において基板構造が影響を及ぼすことがわかった。一方、酸化マグネシウムは基板面に対して(100)結晶方位に二軸配向した結晶質膜を形成し、その配向性は成膜時のプロセス圧力に大きく依存する結果が得られた。また、成膜後の熱処理によって配向性が大幅に向上した。酸化マグネシウム薄膜において、成膜条件及び加熱処理の最適化によってさらに強く(100)二軸配向した薄膜合成の可能性を示唆する結果が得られ、上述の高密度な転位形成や細線化に向けた材料設計指針が得られつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終目標は、高二軸配向性を有する多結晶薄膜材料を作製して、結晶粒界に形成する格子欠陥を利用して導電性細線の作製である。初年度、これまでの知見を下に対象材料として酸化マグネシウム及び二酸化チタンを選定して、スパッタ蒸着法を用いて酸化マグネシウムに限って比較的良好な配向薄膜材料が得られてきた。一方、二酸化チタンについては未だ結晶性の良い薄膜が作製できていないために、次年度以降更なる作製条件最適化等がより一層不可欠と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究遂行において、共同利用許可を得ている東北大学超高圧顕微鏡室が保有する最先端の原子分解能走査透過電子顕微鏡技術を活用することで配向薄膜における結晶粒界の原子構造計測を行い、これまで収集してきた実験データをもとに格子欠陥を利用した細線化技術の理解や応用を目指していく。また、昨年度からの目標である高配向性薄膜の作製指針について学術的な理解をすすめていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度(初年度)は交付申請額に対して実支出額が下回り、次年度に若干の繰越金が生じた。これは本研究開始の以前より所属機関経費等を用いて当該研究の準備を進めるために研究資材や消耗品を事前調達してきたことが一因である。 次年度(最終年度)の研究費は、交付申請内容どおりに研究材料や使用装置関連の消耗品の物品費を中心に支出計画である。また、研究成果報告のための旅費及び論文発表の経費についても支出する予定である。
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Research Products
(1 results)