2013 Fiscal Year Research-status Report
レーザーアシスト陽極酸化による軽金属表面への耐食被膜成膜技術の開発
Project/Area Number |
25630295
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山崎 倫昭 熊本大学, 先進マグネシウム国際研究センター, 准教授 (50343885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大津 雅亮 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20304032)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マグネシウム / アノード酸化 / レーザー加工 |
Research Abstract |
平成25年度において本研究計画「レーザーアシスト陽極酸化による軽金属表面への耐食被膜成膜技術の開発」では、(1) Na2XO3 アルカリ溶液陽極酸化技術開発(熊大・山崎)と、(2)レーザー照射プロセス開発(福井大・大津)、(3) Mg-Zn-Y系合金の腐食特性評価(熊大・山崎)について、研究を実施し、以下の成果を得た。 (1) Na2SiO3 アルカリ電解浴を用いた陽極酸化を、Mg97Zn1Y2合金を対象に実施し、浴成分および陽極酸化条件の最適化のための予備実験を行った。その結果、3 mol/L KOH水溶液に1 mol/L Na2SiO3を添加した電解浴を用いて、4Vの定電圧でのアノード酸化処理を純Mg材とMg97Zn1Y2、Mg96.75Zn1Y2Al0.25合金に施すことで、いずれの表面処理材も良好な分極挙動を示すことが確かめられた。また、Alを添加したMg96.75Zn1Y2Al0.25合金はMg97Zn1Y2三元系合金に比べて陽極酸化処理工程におけるスマットの発生が少なく、良好な皮膜が形成されることがわかった。 (2) レーザーアシスト陽極酸化の効果を評価するために,純Mg材を水酸化Mg飽和水溶液に15 min浸漬処理後にレーザ照射したものについて腐食特性を調査した。レーザ照射にはQスイッチYVO4レーザを使用し、レーザ出力11W、Qスイッチ周波数200kHzの条件では、耐食性が高く良好な皮膜を形成するレーザ走査間隔とレーザ走査速度はそれぞれ、10umと50mm/sであることが予備試験結果として明らかになった。 (3) レーザーアシスト陽極酸化を施す対象材料であるMg-Zn-Y系合金の腐食挙動およびSCC挙動を調査したところ、Alを添加したMg96.75Zn1Y2Al0.25合金がMg97Zn1Y2三元系合金よりも高い耐食性を示しSCC感受性も低下することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) Na2XO3 アルカリ溶液陽極酸化技術開発:Na2SiO3 アルカリ電解浴を用いた陽極酸化実験を当初予定では純Mg材においてのみ行う予定であったが、Mg97Zn1Y2合金、Mg96.75Zn1Y2Al0.25合金についても実施することができ、浴成分および陽極酸化条件の最適化のための予備実験まで終えることができた。 (2) レーザー照射プロセス開発:レーザー装置の導入が終わり、Mg合金に適した照射条件の探索を現在行っている。今後、アルカリ溶液にMg 合金材を浸漬した状態でレーザー照射し,アルカリ処理と同時に酸化膜を成膜する技術の開発に移行する予定である。 (3) Mg-Zn-Y系合金の腐食特性評価:レーザーアシスト陽極酸化を施す対象材料であるMg-Zn-RE系合金の腐食挙動およびSCC挙動の予備調査を行い、Alを添加したMg96.75Zn1Y2Al0.25合金がMg97Zn1Y2三元系合金よりも高い耐食性を示しSCC感受性も低下することがわかった。これらの基礎データは表面処理を施した合金との比較データとして用いる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画調書に従い、H25 年度に引き続き、(1) Na2XO3 アルカリ溶液陽極酸化技術開発、(2) アルカリ溶液中におけるレーザー照射技術の確立、(3) レーザーアシストNa2XO3 アルカリ溶液陽極酸化技術の開発、(4) 形成被膜の特性評価に関する研究を遂行する。 (1)Na2XO3 アルカリ溶液陽極酸化技術開発:Na2AlO3 アルカリ電解浴およびNa2SiO3 アルカリ電解浴を用いた陽極酸化を、母相と長周期積層構造相との二相合金であるMg-Zn-Y 合金材を対象に実施し、下地合金組織が陽極酸化被膜形成に与える影響を調査する。 (2)アルカリ溶液中におけるレーザー照射技術の確立:アルカリ溶液にMg 合金材を浸漬した状態でレーザー照射し,アルカリ処理と同時に酸化膜を成膜する技術を開発する。 (3)レーザーアシストNa2XO3 アルカリ溶液陽極酸化技術の開発:Na2AlO3 アルカリ電解浴およびNa2SiO3 アルカリ電解浴を用いた陽極酸化処理中にレーザー照射を行い、Al およびSi を内包した緻密酸化被膜の成膜条件を探索する。 (4)形成被膜の特性評価:得られたレーザー照射陽極酸化被膜の成分分析をGDOES により行なう。また被膜の耐食性の評価を塩水浸漬試験および電気化学的測定により行う。
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