2014 Fiscal Year Annual Research Report
圧力を利用したスピネル型酸化物の磁化制御-TEMによる軌道整列と磁性の相関解明-
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25630299
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村上 恭和 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (30281992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤瀬 善太郎 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (90372317)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 電子顕微鏡 / 金属物性 / 強相関電子系 / セラミックス / 結晶工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はスピネル型酸化物MnV2O4が示す結晶学的微細構造(軌道整列によって生じる正方晶ドメイン)と磁気的微細構造(フェリ磁性に伴う磁気的ドメイン)の相関関係を透過電子顕微鏡の先進技術を駆使して明らかにし、圧力による磁化分布の制御という材料工学の基盤技術を整備・構築することを目的として実施した。前年度の研究成果を踏まえ、平成26年度は正方晶ドメインと磁気的ドメインの形態に関する温度依存性、並びに正方晶ドメインの構造的特徴と磁化分布の関係について重点的に研究した。 まず温度依存性に関しては、冷却に伴い磁気的ドメインの構造が大きく変化する温度域が二つあることが判明した。一点目は立方晶-正方晶の結晶格子変態が生じる60K付近である。更に40Kから50Kの温度域、つまり正方晶の状態でミクロンスケールの大きな磁気的ドメインが、数十nmオーダーの微細なドメインへと形態を変える現象をとらえ、この変化が冷却に伴う結晶磁気異方性の増強に起因することを示した。 一方、本研究で開発した薄片化試料に対する圧力制御、つまり試料片の微細加工と支持板との熱膨張差を利用した圧力の調整技術を活用し、双晶関係にある正方晶ドメインの形態や体積分率、或いは双晶プレート交差の状態を操作可能なことを実証することができた。この研究を通して、双晶プレート幅が10nmから20nmという特異なドメイン構造が出現することを示した。この状態では、双晶プレート幅が磁気相関長より小さくなるため、もはや結晶学的ドメインと磁気的ドメインに一対一の対応関係が存在しない。双晶配置の制御と、それによる磁化分布の操作には、上記の一対一関係が必須である。従ってアクチュエーター開発では、試料へ加わる応力場の操作を通して正方晶ドメインのプレート幅を十分に広く設定することが重要と結論される。
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Research Products
(4 results)