2013 Fiscal Year Annual Research Report
変形双晶の核生成臨界体積-協調的原子集団励起(プラストン)の可能性
Project/Area Number |
25630304
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
乾 晴行 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30213135)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | .協調的原子集団励起 / プラストン / 変形双晶 / 核生成 / 臨界体積 / マイクロピラー / 試験片サイズ依存症 / c/a軸比 |
Research Abstract |
Mgやその合金は,軽量性・高比強度から軽量構造材料として自動車部品などへの応用が図られているが,一般に加工性に難がある.これは,底面すべりが圧倒的に容易に起こり,それ以外の変形モードの活動が困難なためである.加工性の確保には,変形双晶の活動を促進する必要があるが,変形双晶の活動には不明な点が多い.結晶粒径がナノオーダーとなると変形双晶の活動が困難になることが知られている.本研究では,試験片サイズがサブミクロンオーダーとなり変形双晶が活動しなくなるのは「双晶の核生成にはある臨界体積が必要なため」との仮説のもと,双晶-すべりの変形モード遷移の特異な試験片サイズ依存性の実測から臨界体積をもとめ,双晶生成の核サイズの解明を試みた.Mg単結晶をa軸方向に圧縮すると,ミクロンオーダー(1~10μm)のマイクロピラー試験片ではバルク試験片では見られる{1¯102}双晶とは異なる{11¯21}双晶が活動する.さらに試験片サイズをサブミクロンオーダー(500-800nm)まで小さくすると,双晶に代わって{11¯23}錐面すべりが活動する.Mg-Zn-Y系LPSO合金単結晶もマイクロピラー試験片では,ミクロンオーダー(1~10μm)では{11¯21}双晶が活動するが,試験片サイズをサブミクロンオーダー(500-800nm)まで小さくすると,もはやいかなる双晶も活動せず,{1¯100}柱面すべりが活動する.試験片サイズがサブミクロンオーダーとなり変形双晶が活動しなくなるのは「双晶の核生成にはある臨界体積が必要なため」との仮説を裏付けるものであり,MgおよびMg-Zn-Y系LPSO合金単結晶の{11¯21}双晶の双晶核生成に要する臨界体積はおおよそ1μmと決定できる.この臨界体積はバルク試料では評価し得ない新規な力学物性パラメーターであり,この物理的意味をさらに追跡したい.
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Research Products
(20 results)