2013 Fiscal Year Research-status Report
骨機能を模倣化した新規概念からなる積層造形体の試作
Project/Area Number |
25630306
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 貴由 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30243182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石本 卓也 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50508835)
當代 光陽 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10610800)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 金属粉末積層造形 / 三次元付加製造 / 低ヤング率 / 衝撃吸収性 / パウダー/ソリッド複合体 / ネッキング |
Research Abstract |
本研究課題では、造形時の未溶融原料粉末を造形後除去するという常識概念を払拭し、造形した三次元多孔質構造体の隙間空間に粉末を意図的に充填し、本来除去されるべき粉末に力学的機能を与えることで、あたかも生体骨として振舞うことのできる新規骨機能模倣型(低ヤング率・衝撃吸収性を兼備)積層造形体の創製にチャレンジする。 平成25年度は、新規概念からなるパウダー/ソリッド三次元積層造形体の試作を中心に研究を進めた。パウダー/ソリッド三次元積層造形体の試作にあたり、電子ビーム金属直接積層造形法のためのチタン合金の粉末化ならびに、その粉末を用いての造形プロセスパラメータを最適化した。新規パウダー/ソリッド三次元積層造形体の基礎物性、変形挙動の理解のため、CAD/CAMを用いて試験片形状の造形体モデルを作成し、前述の最適化条件にて造形に成功した。 圧縮試験の結果、造形ままの状態で、既に、骨類似の低ヤング率化を達成していたものの、衝撃吸収性は発現しなかった。これは、内部に導入した粉末が、粉末間・粉末-ソリッド部間の応力伝達に寄与していないことが主な原因であった。熱エネルギーの投入により体積拡散に基づく粉末間のネック形成を図ると、ネック度合に応じ、応力-ひずみ曲線にプラトー領域が出現し、衝撃吸収性の発現化に成功した。本研究にて、低ヤング率と高衝撃吸収性が共存したこれまでない構造体の創製に成功した。 近年、電子ビーム積層造形法を含む三次元付加製造プロセスが注目されている中、本研究課題では、現状のインプラントの欠点(高ヤング率、低衝撃吸収性)の克服のため、粉末を原料とする本手法の特徴を最大限生かした「パウダー/ソリッド複合体」という新たな概念をいち早く提案し、試作に成功し、その有効性を試験片にて確認したことは極めて意義が大きい。次年度は、組織制御などによるさらなる力学特性の制御化に取り組む計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に計画していた、パウダー/ソリッド三次元積層造形体の創製と組織制御、積層造形体の組織学的解析・評価、積層造形体の力学試験の実施と力学機能の最適化をすべて完了するだけでなく、衝撃吸収性の付与に成功したことから、当初の計画以上に進展していると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成26年度は、前年度の成果に基づき、パウダー/ソリッド三次元積層造形体のさらなる組織制御・力学機能改善を図る。生体骨の応力-ひずみ曲線にフィットするような構造体を得るため、コンピュータ計算による応力解析を導入し、力学機能の最適化を試みる。 さらに、造形体の生体内埋入試験(ウサギ長管骨)により、造形体の生体親和性ならびに周囲骨・新生骨組織に及ぼす影響について評価する。 こうした研究計画により、ネック形成パウダー/ソリッド三次元積層造形体の作製法を確立するとともに、骨の変形挙動にフィットするような力学特性を発揮する近未来型インプラント創製に向けた材料開発を遂行する。
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