2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25630313
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
倉本 繁 茨城大学, 工学部, 教授 (10292773)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 金属材料 / マグネシウム合金 / 冷間加工 / 結晶粒微細化 / 結晶粒界 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、加工誘起で形成されるナノ組織がマグネシウム合金の高強度化に有効かどうかを明らかにすることが目的であり、平成25年度に引き続き、5種類のMg-1at%X系合金(X=Al, Zn, Sn, Y, Bi)について検討を行った。平成25年度の検討により、これらの合金にHPT(High-pressure Torsion)により強加工を施すと、著しい高強度化が生じること、高強度化の程度は添加元素の種類により異なることが明らかになっている。平成26年度は、主に透過型電子顕微鏡による組織評価を主に実施し、HPT加工材の粒界に溶質元素が濃化することを確認した。HPT材の結晶粒径、粒界への溶質濃化の有無については、添加元素の種類によらず確認されるものの、高強度化の程度が異なることが明確となった。これは、溶質元素の種類によって、粒内転位と粒界との反応のしやすさが異なり、それが結果として粒界からの転位放出や、粒界への転位消滅に必要な応力レベルが異なることを示唆している。研究開始時は、以上のような組織変化に加え、結晶粒内にナノクラスターが生成することも予想していたが、本研究の期間内に明らかにすることはできなかったため、今後の課題として明記しておく。しかし、そもそもの目的であるマグネシウム合金の高強度化に及ぼす合金元素の影響については、上述のような従来にない知見が得られたため、本研究を実施した意義は非常に大きいものと考える。
|