2013 Fiscal Year Research-status Report
新規熱処理の概念「SMCプロセシング」の確立を目指した鉄鋼の高機能化研究
Project/Area Number |
25630321
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
古原 忠 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (50221560)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 表面硬化処理 / 窒化処理 / 超強加工 |
Research Abstract |
Fe-M二元合金ついて超強加工時の導入歪み量が表面硬化におよぼす影響を明らかにする目的で,円盤状試料の中央から外側に向けて半径方向に歪み量が大きくなる高圧ねじり加工(High Pressure Torsion, HPT)材を用いてフェライト域での窒化処理を施し,表面硬度および窒化温度の影響を調べた. 用いた合金は純鉄、Fe-1mass%M二元合金(M=Cr, Al, Ti)であり,HPT加工は,せん断歪量が2.6から180まで変化する条件で行った.これらのHPT材を420℃、470℃、570℃で1hの条件でプラズマ窒化した. その結果,無加工材では表面硬化の小さな純鉄でもHPT加工を施すことで低温窒化後の表面硬度が増加することが明らかとなった.これは,表面から流入する窒素でHPT加工により導入された格子欠陥の回復・再結晶が抑制されるためであると考えられる.一方,このような効果は高温窒化では失われる.Al添加材でもHPT加工を施すことで無加工材よりも大きな表面硬化が見られるが,純鉄とは機構が異なり試料中に存在する格子欠陥上にAl窒化物が核生成するためと推察される.一方,TiやCr窒化物は析出駆動力が大きく,格子欠陥の有無によらず核生成できるため,HPT加工により結晶粒が微細化した分だけ硬度が増加するが窒化前加工に起因する相乗効果は認められない.さらに,無加工材では試料表面に不均一に生成する化合物層が,HPT処理により試料表面に平行かつ均一に生成するようになるという重要な知見を得た. また,炭素含有合金についても同様にHPT加工を試みたが,強度が高く十分なひずみを導入できないことが明らかとなった.そこで,炭素含有合金については,ショットピーニングを用いた強加工を行うことを計画している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた炭素含有合金のHPT処理については、強度が高すぎて歪導入が困難であることが分かったため,超強加工法をショットピーニングに切り替えて実験を進めている.他の実験については、当初の予定通り進行できている.
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Strategy for Future Research Activity |
SEM,EBSDおよびアトムプローブを持ちいて,HPT処理及びその後の窒化処理による組織変化を明らかにする.さらに,炭素含有合金についてもショットピーニングを用いた超強加工が窒化に及ぼす影響を調査する.
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