2014 Fiscal Year Annual Research Report
極低温プラズマによる次世代材料の表面改質・加工プロセスのための現象論的取り組み
Project/Area Number |
25630329
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
川添 博光 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40260591)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 低温プラズマ / 表面波プラズマ / 低電離プラズマ / 電子密度 / 電子温度 / 表面改質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究後半の主要テーマとなるC-R(衝突-輻射)モデルをこれまでに例をみない低電離のSWP(表面波プラズマ)に適用し、その電子温度を推定した。対象となる材料改質用のSWPが化学的平衡状態であり、また衝突-輻射反応が支配的であると考えられるからである。具体的には、電子密度と電子温度の2つをパラメータとしてプラズマの発光スペクトル(計算値)を求め、これが実験で得られるスペクトル(計測値)とフィッティングして求める手法である。 そのために、まず対象となるプラズマの巨視的な特性(電子温度・電子密度)と励起状態にある重粒子の数密度とを関係づける必要があり、素過程を利用した原子モデルの制作が必要となる。全ての素過程・励起準位を考慮することは非現実的であるため、本研究で対象となるアルゴン気体のSWPに適した素過程・エネルギー準位を分光結果に基づく感度解析しその簡略化を図った。これには前年度に製作・検討したPAP(Plasma Absorption Probe) による実験結果が貢献した。これによると電子密度は1ccあたり10の11乗~12乗個であることが判明した。そこで、代表的な励起準位iに流入・流出する準位を4f*以上と5p*に注目した。 その結果、代表的準位i=20を中心とするC-Rモデルを構築し、電子温度を推定したところ、26600[K](2.3eV)であることが分かった。この値はプローブ計測値(28400K)に近い結果となり、本SWPに妥当なC-Rモデルの制作に至った。また他の同様なプラズマに対するC-R法の制作にも目処がついた。本成果は、材料表面の改質に重要なパラメータの一つとなる電子温度を、プローブ等を用いた接触計測による材料近傍の擾乱を発生することもなく、また改質器の幾何学的形状による計測の制約からも解放された新たな解析手法として、そのの有用性を証明するものとなった。
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