2013 Fiscal Year Research-status Report
結晶粒の超微細化と超配向化の同時制御による高性能熱電材料の開発
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25630330
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堀田 善治 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20173643)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 結晶・組織制御 |
Research Abstract |
本研究はBi2Te3系熱電材料の結晶粒を超微細化し、結晶配向性を高くすることで、熱電性能の向上を図ることを目的としたものである。結晶粒超微細化と配向化には申請者のグループで独自に開発した高圧すべり加工(HPS: High-Pressure Sliding)法を用いた。 1.n型(Bi1.9Sb0.1Te2.7Se0.3)とp型(Bi0.4Sb1.6Te3)の板状試料を準備し、HPS加工を1 GPaのもと、723 Kの温度で施したところ、スライド距離が5, 10, 15 mmの中で5 mmの時が最も結晶粒が小さくなり、n型試料では5.3μm、p型試料では5.7μmとなった。スライド距離が大きく付与ひずみ量が大きくなると結晶粒の粗大化が促進された。 2.HPS加工により(001)面は押し出し方向に対して平行に配向し、加工温度、スライド長さ、押出し圧力の増加に伴い配向性は向上した。 3.ゼーベック係数の値はn型とp型ともにスライド長さによる変化は見られなかった。 4.電気抵抗率はスライド長さがx=5.0mmで最も低い値を示し、スライド長さの上昇に伴い電気抵抗率は増加した。これはひずみ量が増加したことによる、格子欠陥の増加に起因したキャリア移動度の低下が大きいことによる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ほぼ所定の計画が実行できた。結晶粒径は高温でのHPS加工ほど大きくなる傾向にあり、p型では電気抵抗が小さくなり、予測と一致する傾向が得られている。しかしながら、n型では77 3 Kでは大きくなりその理由は不明で今後の解明が必要である。熱伝導度の測定を試みたが試料が小さく、十分な精度が得られなかった。性能指数の算出に不可欠なもので、今後必要な因子となる。
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Strategy for Future Research Activity |
情報としてはまだ不十分な組織観察を光学顕微鏡、走査電子顕微鏡(SEM)と共に、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて行う。また、X線回折 (XRD) や電子線背面散乱回折(EBSD)装置をもちいて、静的な焼鈍処理後の結晶粒径、結晶配向性を調べるとともに、熱電特性に及ぼす影響を調べる。特に低温でHPS 加工した試料については転位や空孔など多量の格子欠陥が含まれることになる。静的な高温熱処理が熱電特性に及ぼす影響について系統的に調べる。いろいろな温度でHPS加工した試料に対して、ゼーベック係数、電気抵抗率、熱電伝導率の測定を行い、性能指数を求める。また文献調査を行い、本研究結果と比較し、HPS加工プロセスの有効性について検討し総括する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Bi2Te3系熱電材料の材料組織制御に使用するHPS金型が高温かつ高荷重のもとで使用する必要が生じ、設計変更が新たに余儀なくされた。年度末に近い状況にあり新規金型案の設計と製作まで含めると当該年度での予算の執行は不可能となった。 高温かつ高荷重状態で使用できるHPS金型を設計し製作する。
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Research Products
(2 results)