2013 Fiscal Year Annual Research Report
超酸化物イオン液体を用いる自然順応型湿式酸化排水処理
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25630337
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
邑瀬 邦明 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30283633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北田 敦 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30636254)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 金属生産工学 / 排水処理 / イオン液体 / 超酸化物イオン / 超酸化カリウム / クラウンエーテル / ラマンスペクトル / 磁性流体 |
Research Abstract |
これまでまったく報告がない、超酸化物イオンをアニオンとするイオン液体の合成に成功した。超酸化物イオンは酸素分子の1電子還元状態、すなわち1個の不対電子(ラジカル)を有するアニオンである。超酸化物イオンは、直線型2原子イオンであり、非球対称かつ塩化物イオンと同等程度のサイズをもつ。これはイオンの規則配列の困難さを生み、常温溶融状態が実現しているといえる。 本研究ではまず、直鎖エーテルであるグライム類を超酸化カリウム(KO2)とモル比1:1で混合したが、グライム類は分解してしまい、イオン液体の合成には至らなかった。これに対し、環状エーテルとの混合では、18-crown-6、benzo-18-crown-6、dicyclo-hexyl-18-crown-6のいずれを用いた場合にも温度40~50℃付近に融点を持つ、黄色透明の液体が得られた。KO2の融点は560℃と高いが、クラウンエーテルがK+イオンに配位することでカチオンの電荷密度が低下し、混合物の融点が40~50℃まで下がったと解釈できる。ラマンスペクトルではK+イオンに配位した18-crown-6のエーテル酸素結合長の減少によると考えられる、エーテル結合の伸縮振動スペクトルの高波数シフトが観測された。加えて、磁化測定からも超酸化物イオンに存在する不対電子によると考えられる常磁性挙動が室温で見られた。これらは磁性流体、空気電池電解質などへの応用が考えられるほか、強いラジカル剤として排水中の有機物を分解できると考えられる。 排水処理効果を検証する目的で、化学的安定性が高いことが知られるイミダゾリウム系イオン液体が超酸化物イオンで分解可能かどうか調べた。超酸化カリウムとの加熱混合の結果、イオン液体1-ethyl-3-methylimidazolium chlorideや1-butyl-2,3-dimethylimidazolium chlorideが褐色に変色し、分解することが確認された。
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Research Products
(7 results)