2013 Fiscal Year Research-status Report
電気容量測定による多相共存酸化物融体における粘性および結晶化挙動の同時検出
Project/Area Number |
25630339
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
齊藤 敬高 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80432855)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 酸化物融体 / 粘度 / 結晶化挙動 |
Research Abstract |
当該年度は「粘度・電気容量同時測定装置」を試作した.装置中央部に位置する電気炉内にサンプル融体を満たしたPt-20Rh製ルツボを高温下でスピードコントロールモーターによって回転させた.その後,Pt-20Rh製ロッドを融体に浸漬させることによって粘性抵抗によるトルクが発生し,このトルクを装置上部に設置した回転型差動トランスを中心とした検出機構によって粘度に変換した.また,装置下部には融体の電気容量測定するための機構を設置した.本装置では電気容量を測定するための電極対の一方がルツボ壁,もう一方が融体に浸漬したロッドである.したがって,双方を交流回路のリアクタンスからキャパシタンス(電気容量)を測定するLCRメーターに接続する必要がある.ロッドはサンプル融体の粘性抵抗によってねじれる程度であり,比較的容易に接続可能であるが,ルツボは高温下(~1600℃)で回転(~120rpm)しており,直接導線を接続することが不可能である.そこで,ルツボ中心下部にPt導線を接続し,アルミナ製の回転軸内を室温領域まで延長した.その後,回転体(この場合,Pt導線)から測定電流を検出するスリップリング(銀ブラシ)を介して,LCRメーターに接続することによって融体の電気容量を測定した.なお,本装置の高温部は装置の上下端を水冷キャップで覆うことにより,炉内雰囲気ガスにおける酸素分圧等の厳密なコントロールが可能となっており,揮発しやすいフッ化物やRedox平衡を示す遷移金属酸化物を含む融体においても,高精度に粘性および結晶化挙動を評価することが可能である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに,当該年度において「粘度・電気容量同時測定装置」を試作することができたため.
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度に建造した「粘度・電気容量同時測定装置」の室温および高温における検定を経て,実際の高温酸化物融体の測定を行う.粘度測定装置として,室温において粘度既知の標準物質(シリコーンオイル)を用いた実験条件(ルツボ回転数,ロッド浸漬深さ等)の決定を行う.その後,高温において英国物理研究所(NPL)の制定する高温用粘度標準物質であるSRM2スラグの測定を行い装置の検定を行う.また,電気容量測定装置としては,まず常温において誘電率が既にわかっている液体の電気容量を系統的に測定し,LCRメーターにより検出される電気容量との差異を評価する.この時,計算値は右図に示すモデルによって電気容量(Ctotal)を算出する.その後,誘電率既知の固体を上記の液体に分散させ誘電率および固相率を変化させたサスペンションを作製し,電気容量と含有する固体量に関する検量線を制定する.これによって,高温実験において電気容量の変化から,過冷却酸化物融体中の結晶相の割合(結晶化率)を高温in-situに同定することができる.上記の検定が完了した時点で,高温下における過冷却酸化物融体の粘性と結晶化挙動を同時に測定する.測定対象とする系はCaO-SiO2系,CaO-SiO2-R2O系,CaO-SiO2-CaF2系やCaO-SiO2-FetO系など状態図のあるものから開始する.これによって,電気容量から算出した結晶化率と状態図の比較から測定の妥当性を評価することができると考えられる.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度に購入予定であった「電気炉制御盤」,「LCRメーター」および「差動トランスおよび専用アンプ」を研究代表者のグループが所有する備品によって代用することができたため. 次年度に「白金製品」や「酸化物試薬」の購入費用として充てる予定である.
|
Research Products
(11 results)