2014 Fiscal Year Annual Research Report
電気容量測定による多相共存酸化物融体における粘性および結晶化挙動の同時検出
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25630339
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
齊藤 敬高 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80432855)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 酸化物融体 / 粘度 / 過冷却 / 結晶化率 / 電気容量 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は前年度に建造した「粘度・電気容量同時測定装置」の室温および高温における検定を経て,実際の高温酸化物融体の測定を行う.粘度測定装置として,室温において粘度既知の標準物質(シリコーンオイル)を用いた実験条件(ルツボ回転数,ロッド浸漬深さ等)の決定を行った.その後,高温において英国物理研究所(NPL)の制定する高温用粘度標準物質であるSRM2スラグの測定を行い装置の検定を行った.その結果,1400℃以下の温度において得られたSRM2スラグの粘度はNPLが推奨する値を非常に良く再現することがわかった. 次に,比誘電率が既知の複数の液体をロッドの浸漬深さを変化させて電気容量を測定した結果,ルツボおよびロッドの幾何学的形状から算出した電気容量モデルが実測値を非常に良く再現することが明らかになった.また,分散固体種の違い(誘電率および性状)による電気容量変化の定量化から結晶化率の検量線を作成した結果,電気容量の固相率依存性はLichteneckerの対数混合則に従うことが明らかになった.さらに,高温における酸化物融体の結晶化率の高温In-situによる定量化を試みた結果, 電気容量の固相率依存性はNielsenの式に従うことが明らかになった.以上により,酸化物融体-結晶系のサスペンションにおいても比較的単純な電気容量の幾何学的モデルと,Nielsenの式によって算出したサスペンションの比誘電率を組み合わせることによって,結晶化率を定量化することができた. 上記の検定が完了した時点で,高温下における過冷却酸化物融体の粘性と結晶化挙動を同時に測定する.測定対象とする系はCaO-SiO2系,CaO-SiO2-R2O系,CaO-SiO2-CaF2系やCaO-SiO2-FetO系など状態図のあるものから開始した.これによって,電気容量から算出した結晶化率と状態図の比較から測定の妥当性を評価することができた.
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