2013 Fiscal Year Research-status Report
イオン液体ゲルを利用した多機能性バインダーによる空気電池の革新的正極の創製
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25630342
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
下山 裕介 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (30403984)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | イオン液体ゲル / 超臨界乾燥 |
Research Abstract |
リチウム/空気電池の革新的な正極を創製することを目的とし,イオン液体ゲルをバインダーとして用いた電極を作製した..イオン液体ゲルのガスの選択性, 高溶解性・拡散性, 高イオン伝導度といった特徴により, バインダー内における酸素の選択的な溶解, 拡散, 電解質からのリチウムイオンの移動経路などの機能性を正極が持つことが期待できる.これらの機能性により, 酸素, Li+, 電子の接触が, 従来の正極における空気相/炭素相/電解質相の三相界面での接触から, イオン液体ゲル相/炭素相の二相界面での接触に変わり, 電極反応の効率化が期待できる.本研究では,このような効率的な正極を作製する上で,超臨界二酸化炭素による含浸・乾燥を利用した方法を適用した.炭素微粒子であるカーボンブラックを分散させた溶液を調製し,カーボンシート上に塗布し,超臨界二酸化炭素中において乾燥を行った.その後,超臨界二酸化炭素中においてイオン液体の含浸を行った.作成した正極について,電気伝導度の測定を行った結果,超臨界二酸化炭素中における含浸過程でのイオン液相に対する二酸化炭素の溶解度が増大するにともない,電気伝導度が増大することが確認された.イオン液体相における二酸化炭素のモル分率が0.8付近となる条件での超臨界含浸において作製した正極について,カーボンのみの正極と同等の電気伝導度を示すことが確認された.これは,イオン液体相に超臨界二酸化炭素が溶解することにより,イオン液体の粘性が低下し,カーボンシード上に均一に分散し,イオン液体の偏在化が抑制されたためであると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,イオン液体ゲルをバインダーとして用い, 酸素, Li+, 電子の接触が, 従来の正極における空気相/炭素相/電解質相の三相界面での接触から, イオン液体ゲル相/炭素相の二相界面での接触に変わることで電極反応の効率化を達成する正極の創製を目的としている.イオン液体ゲルの機能性を利用することで,電極反応の効率化が期待できる一方,イオン液体は粘性が高いことから,電極への塗布・含浸過程において,イオン液体の偏在化が生じ,電極の電気伝導度が低下することが懸念される.そこで,超臨界二酸化炭素を含浸溶媒としたイオン液体の正極への含浸を利用することで,イオン液体相へ二酸化炭素が溶解し,イオン液体の粘性が低下し,カーボンシード上に均一に分散し,イオン液体の偏在化が抑制される効果が確認された.これらの成果は,上記の多機能性を有するイオン液体ゲルを,炭素微粒子のバインダーとして利用する際に大きな障壁となっていた,イオン液体の偏在化による電極の電気伝導度が低下といった問題を克服できるため,本研究課題で提案するイオン液体ゲルバインダーを有するリチウム/空気電池の正極を作製する点において重要な知見となることが考えられる.以上より,イオン液体ゲルを,正極上の炭素微粒子のバインダーとして利用する上での問題点を解決する手法・知見を蓄積していることから,研究の達成度は順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果として,イオン液体ゲルをバインダーとして利用する正極を作製する上で,超臨界二酸化炭素を含浸溶媒とし,イオン液体ゲルをカーボンシート上へ含浸することで,イオン液体相に超臨界二酸化炭素が溶解することにより,イオン液体の粘性が低下し,カーボンシード上に均一に分散し,イオン液体の偏在化が抑制されることが確認された.今後は,本研究課題の目標を達成する上で,以下の2項目を念頭に研究を遂行していく.(1)イオン液体の選定方法の確立.イオン液体ゲルをバインダーとして用いる上で,イオン液体中における酸素の溶解度,拡散係数,ならびにリチウムイオン伝導度といった点からのイオン液体種の選定が重要となる.そのため,実験的かつ理論的アプローチによるイオン液体種の選定方法を確立する.(2)イオン液体ゲルバインダー正極を有するリチウム/空気電池の性能評価.本研究課題で提案するイオン液体ゲルバインダー正極を,リチウム/空気電池に組み込むことで,イオン液体ゲルバインダーが及ぼす影響について検討を行う.
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