2013 Fiscal Year Research-status Report
光励起重合法を用いたシリカおよびシルセスキオキサン膜の低温製膜と膜構造制御
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25630345
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
都留 稔了 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20201642)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 膜 / 光重合 / 有機無機ハイブリッド |
Research Abstract |
近年,有機無機ハイブリッド材料としてシルセスキオキサン(Silsesquioxane, SQ)が注目されている.SQは有機官能基R を有するシロキサン化合物で,RSiO1.5の組成式で表わされる。SQはSiO2のシリカ(無機)とR2SiOのシリコーン(有機)の中間的特性を示し,有機官能基によって高分子との相溶性が向上し,耐熱性と柔軟性をあわせ持つ.本研究では,紫外線によって重合可能な光硬化型SQに着目した.光硬化型SQは主にハードコーティングに用いられており,反応性が高く,低温でも短時間で硬化できることが知られている.また光重合には,カチオン型,ラジカル型の架橋点が異なる重合が存在することが知られている。本研究の目的は光硬化型SQを多孔質基材にコーティングし,紫外線の照射による低温製膜法の開発を行うことである.具体的には光硬化特性評価および膜透過特性評価を行った。 以下は今年度の研究成果である。 ・methacryloyloxy propyl基を有するSQオリゴマー(MAC-SQ)およびSQモノマー(KBM-503)を用い,光重合開始剤としてDAROCUR1173(BASF)およびIRGACURE250(BASF)をそれぞれラジカルおよびカチオン重合に用いた。メタルハライドランプ照射により,有機無機ハイブリッド膜の光重合製膜が可能であることが示された。 ・光ラジカル重合膜のH2O/IPAのPV特性を評価した結果,H2O透過選択性を有することが示され,H2O/IPA分離係数は13,H2O透過率は5.07×10-6 mol/(m2 Pa s)を示し,経時的にも安定であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
methacryloyloxy propyl基を有するSQオリゴマー(MAC-SQ)およびSQモノマーを用いて,光励起法ラジカルおよびカチオン重合による製膜の可能性を明らかにしただけでなく,その分離特性を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
methacryloyloxy propyl基を有するSQオリゴマー(MAC-SQ)およびSQモノマーを用いて,光励起重合による製膜が可能であることを明らかにし,その浸透気化特性を明らかにした。しかしながら,FTIRでSQフィルムの光カチオン重合プロセスをモニタリングしたところ,C=C二重結合のピークが減少する傾向がみられ,カチオン重合とラジカル重合が併存していることが示唆された。今後は光ラジカル重合基の無いSQを用いて,カチオン重合によるシリカ膜の作製の可能性を明らかとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究が比較的順調に進み,予定よりも少ない消耗品で,2013年度の研究目標を達成できた。 2014年度には2013年で得た研究内容(世界初のオルガノシリカ膜の製膜法)を広く発信してゆく予定である。国際学会などで使用する予定である。
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