2014 Fiscal Year Research-status Report
光励起重合法を用いたシリカおよびシルセスキオキサン膜の低温製膜と膜構造制御
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25630345
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
都留 稔了 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20201642)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 膜 / 光重合 / シルセスキオキサン / 浸透気化 |
Outline of Annual Research Achievements |
高選択透過性を示す多孔性シリカ膜は,現在CVD法あるいはゾルゲル法で300-600℃で焼成することで製膜されている。本研究では,従来法の熱エネルギーによる架橋ではなく,外部エネルギーとして紫外光を用いることで,シリカ膜を室温下で低温製膜することを研究目的とする。具体的には,セラミック多孔質膜を支持体として用い,紫外線処理として,(1)光ラジカル発生剤を用いて,アクロイル基などラジカル重合性官能基を有するシリコン系反応出発物の光ラジカル重合反応,および(2)光酸発生剤(PAG)を用いシリコンアルコキシドの触媒となるプロトンを発生させることで,シリカネットワークの形成を行う光カチオン重合反応の2種類の光励起重合反応によって,シリカおよびシルセスキオキサン(SQ)膜を創製する,ことである。 昨年度は3-Methacryloxypropyltrimethoxysilaneをもちいて,光ラジカル反応により製膜に成功した。今年度は,カチオン系光架橋型アルコキシドとして1,2-bis (trimethoxysilyl) ethane (BTMSE) を用い,光ゾルゲル膜の製膜,およびその透過特性評価を行った。シリコンウエハー上で光硬化特性を鉛筆硬度およびFTIR法で確認を行った。さらに,多孔質基材上に製膜を行い,光架橋BTMSE膜は溶媒 (IPA) 中で安定であることが示された. PAG有りBTMSE-UV膜のH2O/IPA分離係数は525となり, PAG無しBTMSE-UV膜の分離係数39と比べ高い値を示し, 高選択性を有する膜が作製できた. また,水透過率は10-5mol/(m2 s Pa) 以上の極めて高い値を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,光ゾルゲル法として,(1)光ラジカル発生剤を用シリコン系反応出発物の光ラジカル重合反応,および(2)光酸発生剤(PAG)を用いらカチオン重合反応が可能であることを明らかにした。さらに分離膜も製膜し,高い選択透過性を示すことを明らかにした。以上より,極めて順調に進行したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,光重合メカニズムの詳細検討,および高分子基材への製膜を行う。
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Causes of Carryover |
比較的研究が順調に進んだため,物品費が比較的低コストで可能となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2013-2014年度の研究内容を世界に発信する予定である。補完的実験の遂行実験費用,論文執筆,および旅費として使用したい。
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