2013 Fiscal Year Research-status Report
プラズマCVDによる高ガスバリア膜合成プロセスの開発
Project/Area Number |
25630357
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河瀬 元明 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60231271)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 元 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40336003)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | プラズマCVD / シリカ膜 / 原料組成比 / 雰囲気ガス / 膜構造 / ヘキサメチルジシロキサン |
Research Abstract |
高性能ガスバリヤ膜の合成を目的に,プラズマCVD チャンバーに,原料ガス(HMDSO,O2 混合ガス)と希釈ガス(Ar またはHe)を供給し,ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム基板上にシリカを製膜する実験を行った。初年度は成膜条件の確立と,生成する製品膜の構造分析ならびに機能評価に注力した。 全圧 1~50 Pa,滞留時間 0.1 s 程度,基板温度 80 ℃,放電電源周波数68 kHz,プラズマ投入高周波電力80 W の条件で, 100~600 nm 程度の膜厚のシリカ膜を作製した。 成膜可能領域(成膜ウインドウ)を探索した結果,透明シリカ膜を得るにはO2添加率がもっとも重要であり,原料組成比O2/HMDSOが4以上の領域では極めて透明なシリカ膜が生成することがわかった。SiO2が生成する量論比2では酸素不足で膜が黒褐色を呈し,過剰な酸素が必要であった。しかし,HMDSOが完全燃焼する量論比12よりも小さい酸素添加率でも透明膜の成膜が可能であった。 作製した膜の構造は次の方法で評価した。(1)X線光電子エネルギー分光(XPS)を用いて膜組成および化学的結合状態を評価した。黒褐色の膜では,炭素混入は数10%に及んだ。(2)X線回折(XRD)による結晶性測定を行ったが,多層構造であるためシリカ層の回折スペクトルは明確には得られなかった。(3)可視光透過スペクトル分析により透過率を測定した。O2/HMDSOが4以上の条件では透過率は85%以上と良好であった。(4)酸化雰囲気での熱重量測定(TG)によりSiO2質量の測定を行い,成膜量を定量した。 さらにこの年度は水蒸気透過実験のための装置の設計を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プラズマCVD反応に影響を与える因子として供給原料組成の影響を調べ,製膜したシリカ膜を分析することにより,原料組成比O2/HMDSOがプラズマCVD法で作製したシリカ膜の膜特性,成膜機構に与える影響を検討した。初年度目的である成膜条件の確立と,生成する製品膜の構造分析が行えた。
|
Strategy for Future Research Activity |
原料ガスへ他のガスを添加した場合の膜組成の変化や酸化剤/原料ガス比率を変更した場合の成膜速度,膜中の残留炭素量の検討を行い,新たな機能を付与したガスバリア膜形成プロセスの開発を進める。
|
Research Products
(3 results)