2013 Fiscal Year Research-status Report
高表面積を有するグラファイト様窒化炭素の開発と触媒反応への活用
Project/Area Number |
25630361
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾中 篤 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (10144122)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 多孔質窒化炭素 / メレム分子ポリマー / 高表面積 / 固体塩基性 |
Research Abstract |
層状のグラファイト型窒化炭素(g-C3N4)は安価なメラミンなどの原料を加熱して得られる高分子化合物で,メレム分子が縮合したポリマー鎖が水素結合で平面構造を作り,その平面が積層する構造を持つ.しかし,g-C3N4は比表面積が8 m2/gと極端に小さく,g-C3N4表面が反応場となる電極材や光触媒への適用は困難であった. 本研究では,(1)ポスト処理によるg-C3N4多孔質化でmpg-C3N4同様の150 m2/gを超える高表面積を達成すること,(2)(1)を安価で工業的によく使われる試薬と簡便な処理のみを用いて達成すること,の2点を主目的とした. g-C3N4は薬品耐性が強く,また全ての溶媒に不溶であるため,酸・塩基・有機溶媒中でg-C3N4は速やかに沈降するが,濃硫酸中でのみ特異的にg-C3N4が完全に分散・懸濁することを見出した.また,濃硫酸中で分散させた後に洗浄を行ったg-C3N4の積層構造が大きく崩れることをX線解析により見出した.ナノポーラス窒化炭素(nanoC3N4)と呼ぶこの多孔性窒化炭素は濃硫酸中で撹拌後,水洗を行い,得られた固体を残留硫酸を除くためにNaOH水溶液中で撹拌後,再び水洗し,エタノール中で撹拌・濾別後,真空乾燥して得られるnanoC3N4は170 m2/gの高表面積を示した. ICP分析により得られたnanoC3N4は,約1重量%のナトリウムを含むことがわかり,これにより固体塩基性を発現する.NaOHの代わりにCsOHを用いて中和することで,セシウムを10重量%含むnanoC3N4が得られ,いろいろな金属種を導入したnanoC3N4の調製の道が開かれた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高表面積を示す多孔質窒化炭素を簡便に作り出す手法を開発し,種々の金属イオンの導入法も確立した.次年度にこれらの固体塩基触媒作用を探索できる状況ができた.
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Strategy for Future Research Activity |
種々のアルカリ金属イオンをnanoC3N4に導入し,その水中での分散性の高さ,アルカリ成分の溶け出しがない特徴を活かすことで,ユニークな水中での固体塩基触媒反応を開発する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
窒化炭素物質nanoC3N4へのナトリウムイオン以外のアルカリ金属イオン,例えばセシウムイオン,の導入が,予想していたよりも容易に進むことがわかり,調製を試みる回数を減らすことができるとともに,予定の水酸化アルカリ試薬を余分に購入する必要がなくなったため. 次年度予算額と合算した予算額に納まるように,物質調製の手法を工夫しながら予算の執行を行う.
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Research Products
(1 results)