2013 Fiscal Year Research-status Report
固体表面を利用した金属錯体と強配位性官能基の共存による新規触媒活性点構造の創出
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25630362
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
本倉 健 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 講師 (90444067)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 不均一系触媒 / 固定化触媒 / 配位性官能基 / 酸塩基 |
Research Abstract |
平成25年度の研究では、同一固体表面に複数の活性種をもつ触媒を開発し、協同触媒作用の発現について検討した。具体的にはアミノ基とインジウムカチオンを有する酸化物表面の調製に成功し、これがカルボニル化合物のシアノエトキシカルボニル化反応に高い活性をもつことを見出した。この反応は、アミノ基等のルイス塩基によってシアノ化剤を、金属カチオンに由来するルイス酸によってカルボニル化合物を活性化することで進行することが知られている。一方、通常、アミノ基は金属への配位性が高く、両者を同時に用いるのは容易ではない。しかしながら、両者を同一固体表面に固定することで、アミノ基のインジウムカチオンへの配位による触媒活性の失活を抑え、目的の反応を促進することができた。この研究では、調製した触媒の構造を固体NMRやXPS測定等の種々の分光学的手法を駆使することで明らかにした。特に、固体表面に存在するInカチオンがシリカアルミナのブレンステッド酸点との交換反応によって導入され、有機アミンはシリカアルミナ表面のシラノール基とのシランカップリング反応によって導入されていることを、固体NMR測定によって明らかにした。これらの情報は、様々な触媒機能集積のために、シリカアルミナ表面の構造が果たす役割を明らかにしたものであり、今後の触媒設計における重要な指針となる。 上記の研究成果をもとに、平成25年度は査読付き投稿論文発表1件、国内学会発表1件を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
固定化触媒および均一系触媒において、同一反応器内で共存することのできる活性種を設計・調製し、目的の触媒反応を促進さることが可能となった。今後は、3級アミンおよび4級アンモニウム塩よりも、より配位性が高く、かつルイス塩基としての機能が期待される特殊なアミン化合物・ホスフィン化合物へ展開が必要である。以上より、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
塩基性活性点として採用する化合物として、3級アミンおよび4級アンモニウム塩よりも、より配位性が高く、かつルイス塩基としての機能が期待される特殊なアミン化合物・ホスフィン化合物を用いる。これらの配位子の酸点への配位を制御するために、両者を固体表面へ固定化する。すなわち、今後は固定化触媒を中心に検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画を遂行中、当初予定していた構造とは異なるものの、より効率よく反応を進行させうる触媒構造を見出したため。 新たに見出した構造の触媒の性能検討とともに、当初計画していた構造の触媒の合成を合わせて行う。これらの実験および成果報告のために使用する。
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Research Products
(2 results)