2013 Fiscal Year Research-status Report
生体触媒におけるメタン水酸化反応制御に寄与する触媒部位への電子伝達経路の解明
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25630363
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮地 輝光 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (40452023)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メタン水酸化反応 / 生体触媒 / 電子伝達 / 活性酸素 |
Research Abstract |
本研究は、メタンからメタノールへの酸化反応に活性な銅含有メタン酸化酵素(pMMO)における高酸化活性種生成の制御機構を明らかにするため、pMMO 触媒中心への電子伝達系路を特定することを本研究の目的とした。これまでに申請者は、pMMO への電子供与体が細胞膜内の還元型キノンであることを特定しているため、本研究では細胞膜内の還元型キノンから pMMO が電子を受け取る部位を pMMO 分子内に複数存在する銅イオン結合部位から特定することをめざした。 平成25年度は還元型キノンから銅含有メタン酸化酵素触媒中心への電子伝達経路において銅含有メタン酸化酵素の単核銅部位が果たす役割を解明した。銅含有メタン酸化酵素を得るため、メタン酸化細菌を培養し、回収した菌体から銅含有メタン酸化酵素を精製した。さらに、エチレンジアミン四酢酸を用いて銅含有メタン酸化酵素の単核銅イオンを選択的に取り除く手法を確立した。この単核銅欠損型銅含有メタン酸化酵素によるメタンからメタノールへの酸化反応を行った。その結果、単核銅欠損型メタン酸化酵素では、水溶性の還元型キノンであるテトラメチルハイドロキノンに依存したメタン酸化活性はほとんど影響を受けなかった。一方、細胞膜に内在する還元型キノンに依存したメタン酸化活性は阻害された。この結果から、銅含有メタン酸化酵素の単核銅部位は、細胞内の電子伝達系から電子授受する役割を果たしていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の目的とした銅含有メタン酸化酵素の単核銅部位が果たす役割を明らかにすることができたことから、現段階までは研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の結果において、単核銅欠損型メタン酸化酵素における単核銅部位の果たす役割が、電子を供与する還元型キノンの種類に依存することがわかった。また研究遂行中に、銅含有メタン酸化酵素において、新たな銅結合部位が発見された。そこで、平成26年度は、前年度に調製した銅欠損型メタン酸化酵素の銅結合状態を明らかにする。そのため、調製した酵素の電子スピン共鳴測定を行い、銅イオンのタンパク質への配位状態を明らかにする。さらに還元型キノン共存下で測定を行なうことで、酵素に結合した銅イオンの酸化還元挙動を測定する。また、還元型キノンの結合部位を特定するため、修飾型ハイドロキノンが銅含有メタン水酸化酵素へ結合するアミノ酸側鎖を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、酵素調製方法の確立とその酵素を用いた反応により、目的であった銅含有メタン酸化酵素の単核銅の役割を明らかにすることができた。その結果から、平成25年度に調製した酵素とは異なる酵素が必要なことがわかった。そのため研究計画を変更し、次年度に引き続き酵素調製を確立することとしたため、未使用額が生じた。 上記理由により必要となった酵素調製を次年度に行なうこととし、酵素調製、酵素反応および分析に必要となる試薬および実験器具等の消耗品費として使用する。
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Research Products
(1 results)