2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25630370
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
上田 宏 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (60232758)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 抗体結合タンパク質 / アビディティー / リンカー工学 / 抗体工学 / 免疫測定 / 結合速度 / 解離速度 / 蛍光プローブ |
Research Abstract |
二種類の抗体結合ドメインの最適な結合による超高性能抗体結合素子の構築を目標として,以下の検討を行った。ターゲットとする抗体IgG Fc領域に結合する天然由来タンパク質としては,Staphylococcus Protein A由来のドメイン(PA), Streptococcus Protein G由来のドメイン(PG)を用いた。本年度は,これまで構築したPAxPGをベースに,2種類の抗体結合ドメインと各種リンカーを組み合わせた融合タンパク質を大腸菌を用いて発現・精製し,これらの各種抗体IgGへの結合能を評価した。結合能の評価法としては,ELISAに加え,フォルテバイオ社製タンパク質パーソナルアッセイシステムを用いた速度論的解析を行った。抗体としては,マウス,ヒトの各IgGサブクラスを主に用いて評価した。なお, PAxPGはある種のヒトFabにもかなり強く(Kd < 10 nM)結合することが確認されているため,ヒトIgGはFc断片にした場合についても評価した。 この結果,PA-PG間リンカーを(G4S)n, n=0, 2, 4, 6とした場合,最も高い結合能がn=6の場合に得られ,ヒトFcの場合Ka値としてn=0の約10倍になった。比較としてヒトFabを用いた場合,n=4で最大の結合能を示した事から,これは分子内の二つの結合部位間の距離を反映しているものと考えられる。また,マウスIgG1に対するn=4の結合能は,天然Protein A, Protein Gのそれを上回っており,ドメイン間距離の最適化により,天然タンパクを上回る結合能を持つタンパク質を得ることが出来たと言える。以上の結果をまとめ,二回の学会発表(生化学会年会,生物工学会大会)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PAxPGのリンカー長を変えた速度論的検討により,ほぼ狙い通りのデータを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた最適化された結合タンパク質を用いて,アフィニティクロマトグラフィーを構築し,実際にヒト抗体が精製できることを確認する。さらに,この結合タンパク質とアルカリフォスファターゼ,ルシフェラーゼなどの酵素を融合発現させ,高感度な抗体検出プローブとして使用可能なことを実証することを予定している。さらに,そのFab結合能を利用して,プローブを蛍光標識し,抗原結合により蛍光強度が変化するQ-bodyとしての性質を示すかどうかについても検討したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入予定であった分子間相互作用測定装置BLItzを,価格の問題で別予算(基盤B)で購入し,本予算には主に消耗品を計上した。なお基盤Bの研究においてもBLItzは活用されている。また来年度は成果の論文投稿を予定しており,その対応のための費用を残すこととした。 平成25年度の研究内容をまとめた論文を二報投稿し,レフリーの指摘に従って必要な実験をおこなう。
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