2013 Fiscal Year Research-status Report
単一細胞破砕に基づく高精度オルガネラ回収技術の開発
Project/Area Number |
25630372
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田中 剛 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20345333)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 有用珪藻 / 微細藻類 / 微細孔アレイ / 単一細胞ライブイメージング / オルガネラ / 中性脂質 / 葉緑体 |
Research Abstract |
平成25年は、研究対象となる微細藻類Fistulifera属の細胞を同時並列的に捕捉・破砕するためのデバイス開発を行った。研究代表者らがこれまで研究してきた微細孔アレイ(孔数:約10万、孔径:3 μm)をPDMS支持体ではさみ、流路を組み込んだカートリッジを構築した。まず、構築したカートリッジ上に効率的に細胞を捕捉できることを確認するため、10万個の微細藻類細胞を導入した。その際、流速、細胞濃度などの諸条件を研究代表者らの過去の研究と照らし合わせて検討した。その結果、流速200 μL/min、5×10^6 cells/mLで導入した時に、導入した細胞の内、90%以上を微細孔アレイに捕捉可能であることを確認した。本条件において一部の細胞の破砕が確認されたものの、その効率は低かった。細胞破砕のためには更なる流速増加が必要であると考えられる。次いで来年度に予定されている、捕捉した単一細胞の破砕状況のライブイメージングを実現するため、その基礎検討として、捕捉細胞内のオルガネラ(特に葉緑体と油滴を含む小胞体)を単一細胞レベルで高効率に画像化する技術を開発した。葉緑体はクロロフィルの自家蛍光を利用することで、小胞体はBODIPY 505/515で染色することで蛍光観察を可能とした。これらのオルガネラを、共焦点レーザー走査型蛍光顕微鏡を用いて継時的に観察したところ、同一視野に25細胞を撮像することが可能であった。さらに、小胞体の体積増加に伴い、葉緑体の体積が縮小する様子を定量的に評価することができた。これらのことから、構築した微細孔アレイ上に捕捉された微細藻類のオルガネラを、単一細胞レベルで高精度にライブイメージングする技術的基盤を確立できたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度までの目的であった、微細藻類細胞を同時並列可能な単一細胞捕捉・破砕デバイスの開発に成功した。さらに、高い効率で細胞を捕捉するプロトコール、及び捕捉した細胞内部のオルガネラを選択的に染色しその動的挙動を追跡する観察法を開発することができた。本成果により、来年度に予定されている、細胞破砕方法の検討、及び破砕時のオルガネラの動的挙動解析を滞りなく開始することが可能となった。以上の事より、本研究はおおむね順調に進んでいると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度中に、微細孔アレイ上に微細藻類を捕捉する方法を確立することができた。しかし捕捉した細胞を完全に破砕するためには、さらなる条件検討が必要である。そこで、当初予定していた吸引による圧力を利用した物理的破砕方法のみならず、塩酸やフッ化水素添加などの化学的破砕方法の検討も併せて行っていく予定である。破砕方法の検討の後、平成25年度に開発したライブイメージング技術を用いて、細胞破砕時のオルガネラ動態を解析する予定である。
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