2014 Fiscal Year Annual Research Report
単一細胞破砕に基づく高精度オルガネラ回収技術の開発
Project/Area Number |
25630372
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田中 剛 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20345333)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 微細藻類 / 微細孔アレイ / 単一細胞ライブイメージング / オルガネラ / 中性脂質 / 葉緑体 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、捕捉した単一細胞の破砕状況のライブイメージングを実現するため、珪藻Fistulifera属の細胞内オルガネラ(葉緑体、および脂質蓄積のための油滴)を対象にしたin vivoダイナミクス解析法の開発を行った。前年度までに確立した単一細胞ライブイメージング技術と顕微ラマン分光法を組み合わせ、微細孔アレイ上に捕捉した微細藻類細胞に対し、532 nm 励起光を照射することで in vivo 脂質解析を行った。本手法により、脂質蓄積条件下で培養した藻体の脂質・タンパク質・カロテノイドの各々について単一細胞内における局在を観察することが可能であった。また、脂質のマーカーバンドである1445 cm-1 のバンド強度面積と、ヘキサン抽出によって秤量した脂質含量に相関があったことから、ラマンスペクトル解析によりin vivoの情報から脂質の定量が可能であると示唆された。脂肪酸不飽和度と細胞内油滴体積値の相関評価を行った結果、油滴の蓄積に伴って油滴を構成する脂肪酸の不飽和度が減少していく傾向が見られた。よって、単一細胞ライブイメージング技術と顕微ラマン分光法を統合することで、生体分子の局在及び脂質含量、脂肪酸の不飽和度を同時に解析できることが示された。一方、細胞は最方法の検討に置いては、微細孔アレイ上に捕捉した細胞に高い吸引圧力を加えることで細胞の破砕を試みたが、破砕効率の劇的な向上には至らなかった。そこで、フッ化水素処理による珪藻細胞壁(珪殻)の溶解条件の検討を行った。その結果、温和な条件下(室温、静置、10 分以内)Fistulifera属の細胞から油滴を遊離可能なフッ酸処理方法を確立することができた。以上のように、フッ化水素による化学的細胞破砕方法、および細胞ライブイメージングシステムを統合することにより、単一細胞破砕に基づく高精度オルガネラ回収技術の基盤技術を開発することができたと考える。
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