2015 Fiscal Year Annual Research Report
擬似心拍ストレス環境下でのインビトロ心筋形成技術の構築とバイオ人工心臓への展望
Project/Area Number |
25630384
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中島 雄太 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (70574341)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 周期的力学刺激 / 細胞刺激 / 分化誘導 / BioMEMS |
Outline of Annual Research Achievements |
フォトリソグラフィを主とするマイクロマシニング技術とシリコーン樹脂のモールディングによって製作した心筋細胞分化誘導用マイクロデバイスを用いて、細胞への拍動刺激実験を行うために、前年度に課題となっていた長期培養が可能な培地の循環システムを設計・製作した。このシステムは静水圧を用いてデバイス中に培地を供給するものであるため、流体により細胞に大きな流体力が加わることがなく、また、脈動することなく培地を循環できるものである。本システムの構築により、細胞周囲の培地を循環させ、細胞に充分な栄養と酸素を供給できるようになったため、基板への接着不良や培養途中の死滅を防ぐことができた。その結果、1週間以上の期間、細胞を継続して培養することに成功した。本成果により、前年度までの課題であった長期的(断続的)な刺激実験を行うことができるようになった。 構築した培地循環システムと心筋細胞分化誘導用マイクロデバイスを接続し、筋芽細胞に定期的な圧縮刺激を行うことによって、筋芽細胞分化誘導実験を行った。細胞が受ける圧縮刺激は2 kPaであり、12時間に1回の周期で各10分間の刺激を与え、8日後の分化の状態を評価した。比較対象として、培養ディッシュ内で通常培養した筋芽細胞を用いた。その結果、定期的に圧縮刺激を与えた場合の方が、通常の培養方法で培養した場合よりも効果的に分化し機能を発現することがわかった。 一方、本研究の目的の一つであった、筋芽細胞から心筋細胞への分化誘導については、実現することができなかった。これは、マイクロデバイスの駆動源として使用しているプランジャポンプの能力では、当初目的としていた周期での圧縮刺激を与えることができなかったためであると考えられる。今後、装置の見直しと再設計、再構築を行い、当初の目的の達成を目指す。
|