2013 Fiscal Year Research-status Report
超高速宇宙浮遊物の宇宙機への衝突による宇宙機電位変動の研究
Project/Area Number |
25630397
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
佐々木 進 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 名誉教授 (00092221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 孝治 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (90321570)
牧 謙一郎 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (50392121)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 超高速衝突 |
Research Abstract |
微小隕石やスペースデブリは、宇宙機に相対速度で数km/s~十数km/sという超高速で衝突する。超高速衝突現象では、プラズマの発生や電磁波の放射あるいは衝突部の電位の急激な変動といった電気的な現象も生じ、その宇宙機への影響評価も重要と考えている。特に、グランド電位となっている衛星構体の電位変動は、搭載機器の誤動作を引き起こす可能性があり、その発生メカニズムと変動量推定のため、関連する超高速衝突によって生じる電気的現象に関して実験的手法により解明に着手した。JAXAの2段式軽ガス銃を使用し、ターゲットの材質や厚さの違いにより、電気的現象の違いを比較した。飛翔体速度は、6.4~6.7km/sでターゲットを設置するチャンバ内はロータリーポンプにより真空引きを行った。飛翔体には質量約0.2g、直径7mmのナイロン球を用い、ターゲット材料については厚さ2~50mmのアルミ板を用いた。各厚さは、用いた飛翔体のサイズと速度条件において、貫通、非貫通であるが裏面が損傷、非貫通でありかつ裏面にも損傷が現れない厚さを選んだ。また、比較のために、絶縁体であるガラス板もターゲットとして使用した。電位変動の計測には、ターゲットを固定具から絶縁し、オシロスコープで衝突後の電位の時間変化を記録した。また、関連する可能性のあるプラズマ発生に関しては、ダブルプローブをターゲット近傍に設置して計測を実施した。超高速衝突による電磁波は、ターゲットの内部破壊あるいは発生したプラズマが原因あるいは影響を与えると考えられ、電位の変動とも密接な関係が推測されるため、マイクロ波帯の計測を同時に行った。ターゲットへの衝突時刻は、飛翔体の速度計測からの推定と衝突発光観測により決定した。電位、プラズマ、電磁波の同時計測に成功しており、相互関係の評価を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25年度は、本研究遂行で重要なJAXA2段式軽ガス中の使用申請が認められ、実験を実施できた。超高速度衝突における電気的現象である、電位変動、プラズマ計測、電磁波計測の同時観測に成功した。実験解析を実施しているが、概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、JAXAの大学共同利用設備である2段式軽ガス中の使用の可否が重要である。平成26年度も課題申請を行い、採択されている。6~10ショット程度の実験を予定している。H25年度は、一種類のターゲット材料に関して、電位変動の違いを調べたが、H26年度は、飛翔体材料およびターゲット材料、飛翔体速度をパラメータとして実験を行う予定である。但し、ショット数が限られているため、実験条件は精査して決定する。また、実験の補完としてオートダインによる衝突解析を平行して実施する。上記により、電位変動及び関連する電気的現象の相互関係を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究初年度であるH25年度は、超高速度衝突における電気的現象である電位変動、プラズマ計測、電磁波計測の同時観測実施を主に実施した。特に、主要実験装置である2段式軽ガス銃はJAXAの大学共同利用設備であるため実験頻度を多く確保することは困難である。H25年度は、従来の超高速度衝突実験で比較データが多いアルミニウムを用い、基本的実験手法の確立に重点的な取り組みを行った。H26年度は異なるターゲット材料でのデータ取得を予定しているため、その購入費用としてH26年度に使用したい。 H26年度は、10ショット程度の衝突実験を予定している。ターゲット材料には異なる金属での実験を予定している。H26年度はアルミニウム以外の密度の大きい材料の購入を予定しており、その一部として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)