2014 Fiscal Year Research-status Report
淡水棲イルカ類音響戦略解明のための小型音響データローガー開発
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25630398
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉松 治美 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (90436577)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオロギング / ガンジスカワイルカ / バイオソーナー / クリック音 / 身体モーション / AUV / 水中音録音装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
ガンジスカワイルカがその棲息環境に適応するために発達させてきた生物ソーナーを用いた音響戦略とその水中行動について解明するため、イルカの1個体が発する超音波クリックと身体モーションの連続計測を可能とする音響および身体モーション計測小型データーローガーを開発し、非接触型音響観測と併用した総合観測を実施して、イルカ行動の詳細を明らかにする研究を進めている。 平成25年度に開発した水圧計と一体型のハイドロフォン1組を組み込んだデーターローガーの試作機をAUVに装着して実海域で実施した機能検証試験の解析結果を基に、イルカに装着可能な小型サイズの制御部の内部機構の開発を進め、イルカに装着することができるサイズの小型データーローガーを開発した。 一方、機能検証試験から、AUVに装着したローガーの録音および方位等の記録機能が有効な事が分かった。深海生物はなんらかの音を発しているとされ、その音を基に生物モニタリングが可能と考えられる。そこで、AUVが発する電気・機械ノイズや環境ノイズ等の音響特性を記録して、フィルタリング処理を行うことで、対象とする深海生物の発する音を抽出することができる2000m級のAUV用水中録音装置の試作機を開発した。 今後、イルカ用小型データーローガーについては、イルカに装着するための手法の開発と回収方法について開発を行う。また、AUV用水中録音装置については、実海域での機能検証試験を行い、フィルタリング手法について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
装置の小型化の一環において、水圧計と一体型のハイドロフォンに成功した。また、汎用センサを組みこんだ試作機をAUVに搭載しての機能検証試験により、本ローガ-システムがAUVの発するノイズ評価および生物音の録音に有効であることが証明され、平成26年度は予定していたイルカ装着用のローガー内機の開発を行うだけでなく、2000m級仕様のAUV搭載可能な小型水中音録音装置を開発することに成功した。水中音録音装置を用いた生物観測への応用が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
イルカ装着用ローガーについては、平成27年度中に内機アセンブリと筐体開発を行い、水族館で飼育するイルカへ装着しての試験を行う。また、AUV用の水中録音装置については、AUVの発する電気および機械等による雑音と音響通信成功率の関係について検証するため、AUVの実海域試験等において使用するとともに底生生物の画像撮影と同時に水中音を録音することで生物の特定、個体数、分布について定量的に評価できるシステム開発に向けた取り組みを進める。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、イルカ用ローガー内機開発および2000m大深度仕様の水中音録音装置の開発のための費用が主な経費となるが、ローガー内機と水中音録音装置の内部構造と共通化することで必要な経費を削減している。また、その費用については別予算から自己充当することができたため、本課題からの支出は最小限にとどめることが可能となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度には、イルカ用ローガーのアッセンブリと筐体開発を行うため、そのために残りの予算を支出する。
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Research Products
(2 results)