2015 Fiscal Year Annual Research Report
リニアFM信号とスペクトル分析を応用した新しい動物プランクトン観測技術の開発
Project/Area Number |
25630400
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
甘糟 和男 東京海洋大学, その他部局等, 助教 (80452043)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高周波広帯域エコーサウンダー / 動物プランクトン / 信号対雑音比 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のゴールは,自律型無人潜水機や海底ケーブル観測網などの海洋観測プラットフォームにおける動物プランクトン観測技術を開発することである。これらのプラットフォームでは従来使われてきたプランクトンネットが使用できない。そこでエコーサウンダーを主測器とする。送信する音波は動物プランクトンの観測に適した高周波とし,さらに周波数帯域の広いブロードバンド(広帯域)音波を用いる。これによりエコー波形から周波数特性(スペクトル)を抽出し,その特徴から動物プランクトンのサイズと分布密度を推定する手法を開発する。 前年度までに構築した高周波広帯域エコーサウンダーの問題点は,送受波器のケーブルが50 mと長いために信号対雑音比(SNR)が低いことであった。そこで,平成27年度は,SNRを向上させたるために,受信用送受波器の直後にプリアンプを接続することとした。水槽実験や東京湾での海上試験によって,SNRの向上を確認した。平成28年3月には,観測対象と考えてきたツノナシオキアミのエコーを測定するため,北海道噴火湾で海上実験を行った。高周波広帯域エコーサウンダーは正常に作動していたが,ツノナシオキアミの弱いエコーに対しては十分なSNRが確保できず,エコーを収録することができなかった。したがって,本研究ではサイズと分布密度を推定する手法の開発・検証までは行えなかった。全研究期間を通じては,高周波ブロードバンドエコーサウンダーの構築と,エコーの定量化に不可欠な較正方法と信号処理方法が確立でき,実用機の開発につながる十分な成果が得られたと考える。今後,必要なSNRが確保するためには,送受信系のすべてを耐圧容器に収め,送受波器のケーブルを短くしたシステムとすればよいだろう。ハードウェア面で改良が実現できれば,高周波ブロードバンド音波を使用した新しい動物プランクトン観測技術が開発できる。
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