2015 Fiscal Year Annual Research Report
長期海中観測を想定した水中音響通信による高精度時刻同期手法の開発
Project/Area Number |
25630403
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
近藤 逸人 東京海洋大学, その他部局等, 准教授 (40361802)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ソーナー / 水中音響通信 / 時刻同期 / FPGA |
Outline of Annual Research Achievements |
地球環境問題や資源問題を背景として海洋における長期観測の重要性が強調され、海中に分散配置される観測ノードや移動プラットフォームなど、複数のノード間の時刻同期が重要な技術課題として注目されている。本研究の目的は、水中音響通信技術とチップスケール原子時計を使って、海中で分散独立する観測システム間で高精度な時刻同期を実現する手法を開発することにある。 具体的には、水中で対向する二つの音響通信装置間で通信をおこなう間に、基準となる側(A)のクロックに、時刻のずれている側(B)のクロックを同期させることを目標として、クロック同期のための音響通信アルゴリズムを提案し、テストシステムを構築して、時刻同期の可能性を示した。 初段階では、一つのクロックで動作するFPGAに送信と受信の役割を持たせ、増幅回路を通したそれぞれ送信、受信用のトランスデューサを試験水槽に入れ、一定周波数のバースト波を使用して、送信から受信までの時刻をFPGAに実装した論理回路により計測した。これにより、増幅回路、トランスデューサ、水中伝搬によりどの程度の時間のばらつきが発生するかを確認した。 次の段階では、M系列による変調波を使用して、FPGAにより相関処理を施すことにより時間分解能と同期の精度を向上させ、A側とB側を独立したシステムとして構築し、Aからの送信にBが応答し、この応答信号をAが検出することで往復時間を計測する時刻精度のばらつきと、往復にかかる時間情報をAからBへ伝送する際に生じるばらつきを確認し、B側で安定したクロックを取り出すまでに必要な収束時間を求めた。 最終年度では、信号の送受信と時刻同期のアルゴリズムをまとめてFPGAに実装することが技術的なボトルネックとなったため、開発の方向を修正し、高位合成のためのフレームワークを設計して、構築し、論理回路で全てを記述せずともプロトタイピングを実施できるようにした。
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