2013 Fiscal Year Research-status Report
船舶ディーゼルエンジン排ガス中の炭酸ガスのプラズマ濃縮・燃料化技術の開発
Project/Area Number |
25630408
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
大久保 雅章 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40223763)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒木 智之 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00326274)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 船舶工学 / 舶用機関・燃料 / プラズマ / ディーゼルエンジン / 二酸化炭素排出削減 |
Research Abstract |
本研究では,プラズマ還元-濃縮技術の融合により,国内外で類例を見ない新しいCO2処理・燃料化システムを船舶ディーゼルに対し構築し性能を明らかにした。初めに設定したCO2流量,濃度に対して,CO2をほぼ100%吸収できる,吸着流路の寸法(長さ,直径,吸着層の高さ)を,従来の実験結果と新規実験で決定した。その後,空気や窒素プラズマをガスを循環させながら印加する場合にCO2を100%還元できる,円筒型プラズマリアクタの仕様(放電領域の高さ,循環時間,電圧,電力など)を同様に決定した。この段階で特に問題となるのは,100%のCO2が吸着できるかという点と,CO2循環により100%のCO(あるいは原子状C)への還元が可能かという点である。前者は今年度の研究により検証確認でき,実験装置は製作できた。後者の100%COへの還元に関しては,現状では最大20%のCOへの還元が確認された段階である。本研究の最終目標にも関連するが,今後100%COへの還元を目指した研究を実施していきたい。なお,他の研究者による実験では,希薄アルゴンプラズマで排ガスの循環をしない場合に90%近いCO2のCOへの変換が確認されているので,大気圧空気プラズマでCO2ゼロエミッション(100%還元)の目標はチャレンジングなものであるが不可能ではない。 検証後,システム全体としての連続運転を繰り返し行い,吸着部と放電部の整合性を確認する。なお,吸着剤としてはゼオライト13X,ゼオライトZSM-5,酸化銅マンガン,メソポーラスシリカなどを,プラズマ発生用充てん物としてはチタン酸バリウムペレット,アルミナ,疎水性ゼオライトハニカムなどを試験してゆく。なお,研究室で10数種類の排ガス分析装置を有しているが,本研究費で関連する一部の装置の整備点検を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は2年間の計画であり,1年目にして装置の完成,運転,データ取得に成功しているため。すなわち,今年度に,設定したCO2流量,濃度に対して,CO2をほぼ100%吸収できる,吸着流路の寸法(長さ,直径,吸着層の高さ)を,従来の実験結果と新規実験で決定することができた。その後,空気や窒素プラズマをガスを循環させながら印加する場合にCO2を100%還元できる,円筒型プラズマリアクタの仕様(放電領域の高さ,循環時間,電圧,電力など)を同様に決定することができた。現状では実験の時間的な制約により,最大20%のCOへの還元が確認された段階であり,最終目標には到達していない。来年度は十分な実験時間の確保と,プラズマ脱着の工夫により100%COへの還元を目指した研究を実施して行く計画である。以上より進捗はおおむね順調と判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き前年度の研究を継続し,吸着部と放電部の整合性を確認するなど,不足点の検討を重点的に行っていく。なお実験は,現有で最新式の各種ガス分析計(NOx, CO, CO2, N2O, SOx),ガス・イオンクロマトグラフ,FT-IRガス分析装置,ナノ秒高電圧パルス電源などを使って行われ,最先端の技術を駆使する。プラズマリアクタを電力―プラズマエネルギー変換効率に優れた沿面放電型に変更し試験を実施する。 研究体制は前年度と同様で,研究代表者の大久保は研究の統括および計画,装置設計,データ解析を行う。黒木智之は実験遂行,データ解析,化学分析を分担する。その他実験,装置試作,化学分析は大学院生が分担補助する。 実験は模擬排ガス(NO, CO2, N2, C3H6などのボンベ標準ガスを混合して作成)で原理と性能を確認後,最終的には現有の小型ディーゼルエンジン燃焼排ガスを用いて実験を行っていく。配管・構造用材料,高電圧電子部品,CO2計測器部品,ガス検知管などの消耗品が実験のために必要である。本研究費により,特注品としての吸着剤濃縮式非平衡プラズマリアクタを企業の協力によりプロトタイプとして試作する。研究では実験補助のためにアルバイト学生を雇用し,研究を実施する。国内旅費に関しては,研究代表者及び分担者が年2回程度,東京都,仙台市などに所在する大学や学会等を訪れ,研究調査,打ち合わせ,成果発表を行う。最終成果発表のための外国旅費の使用予定地域は主として米国で,研究代表者がオーガナイザおよびセクレタリを務めるESA(米国静電気学会),IEEE(アメリカ電気電子学会),または船舶関係の国際会議を考えている。また最終的な研究成果は論文または報告書としてできる限り早期に公表する。そのための研究成果印刷料を計上している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該研究に対し他の研究補助があり,本研究費用の一部を次年度に回すことができたため。 引き続き前年度の研究を継続し,吸着部と放電部の整合性を確認するなど,不足点の検討を重点的に行っていく。なお実験は,現有で最新式の各種ガス分析計(NOx, CO, CO2, N2O, SOx),ガス・イオンクロマトグラフ,FT-IRガス分析装置,ナノ秒高電圧パルス電源などを使って行われ,最先端の技術を駆使する。プラズマリアクタを電力―プラズマエネルギー変換効率に優れた沿面放電型に変更し試験を実施する。ガス分析計の整備,プラズマリアクターの変更に主として当該費用を充てる計画である。
|