2014 Fiscal Year Research-status Report
メカノケミカル処理を用いた精密微細混合によるバイオマスからの水素生成反応の低温化
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25630411
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加納 純也 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40271978)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水素 / メカノケミカル / 粉砕 / 炭材 / 再生可能エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、5種類の炭材を用意し、それぞれに水酸化カルシウム、水酸化ニッケルを混合し、水蒸気雰囲気下で加熱することにより水素生成実験を行い、炭材の種類により、水素の発生量が大きく異なることが判明した。本年度は、炭材に混合している、水酸化物の種類が水素生成に及ぼす影響を検討した。水酸化カルシウムの他、水酸化ランタン、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用した。一方、水酸化ニッケルの他、水酸化アルミニウム、水酸化銅、水酸化マグネシウムを使用した。 水酸化ランタンや水酸化マグネシウムを混合した場合は、水素の発生量が水酸化カルシウムに比べ、半分程度に減少する。水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムを使用した場合は、水酸化カルシウムの場合に比べ水素の発生量が増加し、特に水酸化ナトリウムを使用すると1.5倍ほど増加した。一方、水酸化ニッケルの代わりに用いた、水酸化銅、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムでは、水酸化ニッケルを上回るほどの水素が発生することはなく、水酸化銅で、水素の発生量が約半分、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムの場合は、水酸化ニッケルを入れない場合とほぼ同じである。それぞれのコストを計算すると水酸化ニッケルが最も低くなることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)触媒となり得る物質の調査:予備的実験では,水酸化カルシウムと水酸化ニッケルを用いた.このほかに触媒となりうるホタテの貝殻や牡蛎殻などの廃棄物を調査し,炭酸化、脱炭酸反応が600℃程度で進行する10種類程度の触媒候補を挙げる.→比較的安価である酸化物を中心に選び、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化銅、ホタテや牡蛎殻の主成分である炭酸カルシウムを選定した。 2)触媒候補を用いた水素製造実験:先に候補に挙げた触媒を用い,炭材と一緒にメカノケミカル処理後,非酸素雰囲気で加熱し,水素の生成量ならびに水素濃度に及ぼす影響を定量的に把握する.→上記の触媒候補を用いて、水素製造実験を行い、水素生成量、水素濃度を明確にした。 3)使用する触媒量が水素発生量におよぼす影響の定量的評価:触媒の候補の中から性能が高かったものを選び,混合する触媒量が水素発生量ならび水素濃度におよぼす影響を明確にする.→性能が高かった触媒を用いて、その量が水素発生量ならびに水素濃度に与える影響を明確にした。 4)製造コストがミニマムになる触媒の選定:水素の製造にはそのコストも重要であり,コストの面から最適な触媒を選定する.→コストがミニマムになる触媒の選定を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、メカノケミカル処理条件と加熱条件の最適化をテーマとして掲げ、水素量を最大にし、かつコストを最小にする条件の探索を行う。 メカノケミカル処理においては,通常粉砕機を用いる。その際,粉砕機の回転数,媒体として使用するボールのサイズ,処理時間などが与える影響を明確にする. 予備的実験では,通常1000℃以上で行われる水素製造を600℃まで低下することができた.その要因がどこにあるのかを見極め,さらなる低温化を目指す. 以上,炭材種,触媒とその量,メカノケミカル処理条件,加熱温度,コストなど総合的な最適処理条件を見いだし,その条件にて,水素生成量とその濃度を確認する.メカノケミカル処理条件の最適化に対しては,コンピュータシミュレーションを適用する.
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Causes of Carryover |
今年度の研究を効率的に推進したことにより生じたものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度請求額と合わせて平成27年度の研究遂行において使用する予定である。
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