2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25630420
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
宮本 光貴 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (80379693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
時谷 政行 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (30455208)
舩木 修平 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (00602880)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プラズマ・壁相互作用 / 表面分析 / 照射損傷 / 不純物堆積 / 透明導電膜 / LHD / 光反射率スペクトル / インピーダンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,プラズマと対向材料の相互作用において鍵となる材料表面近傍の損傷程度と不純物堆積量を炉内で簡便に評価するその場診断手法を開発し提案するとともに,大型のプラズマ閉じ込め装置において本手法の有効性を検証し最適化する事を目的としている. 研究2年目にあたる平成26年度は,初年度に構築した材料表面特性測定装置を利用して,連続波長レーザーによる光反射率スペクトル,およびLCRメーターによるインピーダンスを,それぞれイオン照射下で実時間測定した.また,新たな診断用材料としていくつかの透明導電膜を作成し,その成膜環境に対する,光学特性(透過率)および電気伝導特性の変化を検討した.主な結果は以下の通りである. (1)鏡面ステンレス試料のヘリウムイオン照射下における光反射スペクトル変化を実時間測定し,それらを照射量および照射量の関数として整理した.この結果,光反射スペクトル測定を用いた高精度な材料診断の可能性を示した. (2)金属試料を用いたイオン照射下インピーダンス測定においては,高周波領域においてのみ有意なインピーダンス変化が検出され,材料のごく表面直下に分布する照射損傷の影響が指摘された.試料の最適化等により,インピーダンス測定による損傷の深さ分布の見積りが可能になると考えられる. (3)大面積基板への成膜が可能であるマグネトロンスパッタリング法を用いて,ガラス基板上にZnO透明導電膜を作成し,スパッタリング時の投入電力の大きさにより,電気伝導性が大きく変化することを見出した.さらに,成膜後の透明導電膜をある条件でアニールすることで高い電気伝導性を示す膜に改質したことから,熱に対して応答する診断材料としての有用性が明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた実験計画に従い,データの取得が行われており,着実に成果が上がっている.共同研究者3名が一堂に会する機会はなかったが,各共同研究者間の情報交換は日常的に行われており,特に大きな問題は生じなかった.H27年度には共同研究者3名が中心となった中規模な研究会を実施し,成果の取りまとめを行いたいと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の最終年度に当たり,これまでに得られている実験データの整理,および捕捉データの取得を行う.実験室規模で得られている基礎的なデータと,大型プラズマ閉じ込め装置LHDの実機プラズマ曝露下で得られたデータとの相関から,本手法の実機環境下における有効性を検証する.さらにLHDにおいて測定されている放電中のプラズマパラメータと,本手法により得られた材料表面特性の動的変化との関連を評価し,実時間計測の意義を明確化する. また,得られた研究成果の発信においては,国内外における学会,研究会において積極的に成果報告を行うとともに,広く認められた学術雑誌に論文を寄稿するように努める予定である.
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Causes of Carryover |
安価な物品の選定や旅費の削減などにより,僅かに次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越額を加えた次年度使用可能額も十分とは言えないので,これまで通り,可能な範囲で安価な物品の選定や割安の運賃による旅費の削減に努め,研究に必要な物品購入や旅費等に使用予定である.
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