2013 Fiscal Year Research-status Report
コンピュータシミュレーションを用いた微粒子を含む高粘性流体のレオロジー特性評価
Project/Area Number |
25630428
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 幹夫 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00391342)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ガラス溶融炉 / 白金族粒子 |
Research Abstract |
Discrete Element Method (DEM)とDirect Numerical Simulation (DNS)を連成した手法(以下、DEM-DNS法と記す)を用いて、溶融ガラス中に白金族粒子が分散・沈降した状態の体系におけるレオロジー特性を評価した。本手法では、従来手法に対して、流体計算において時間刻みが可変になるとともに、粘度が高くても安定的に計算できるようなアルゴリズムを導入した。さらに、ブラウン運動を模擬するための揺動項も導入された。 まず、分散状態におけるレオロジー特性を評価した。分散状態においては、固相の体積分率が5%~25%程度の体系において、固相の体積分率に対する相対粘度がKrieger-DoughertyおよびQuemadaのような実験式と一致することを確認し、DEM-DNS法が妥当であることが示された。沈降状態におけるレオロジー特性も評価した。沈降状態においても、固相の体積分率が5%~25%程度の体系の相対粘度を評価し、固相の体積分率に対する相対粘度がQuemadaの式よりも下回ることが示された。本結果は速度勾配に大きく影響することが示された。また、沈降時において、シェアをある程度負荷しても白金族粒子が流動しない可能性があることがわかった。これは、ガラス溶融炉の炉底に白金族粒子が沈降してしまうと、流下しても白金族粒子が抜け出せず、その炉内保有量が積算されてしまう可能性があるという重要な知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
溶融ガラス中に白金族粒子が分散・沈降した状態のレオロジー特性を評価するための手法として離散要素法(以下、DEM)と数値流体力学の直接計算法(以下、DNS)を連成したDEM-DNS法を改良した。行列計算の工夫により、高速化を図ることができた。高粘性流体と固体粒子が混合したスラリーにおいて時間刻みを大きく設定しても安定的に計算できることを確認した。3次元の直方体体系において、スラリー粘度を評価する数値実験を行った。固相の体積分率を5%~25%に設定した数値解析を実行し、実験から導出された式と数値解析結果がよく一致したことから、その妥当性を検証することができた。また、quaternionを導入して、非球形粒子の運動をもぎするための基礎研究を行った。さらに、ガラス溶融炉の炉底に白金族粒子が沈降してしまうと、流下しても白金族粒子が抜け出せず、その炉内保有量が積算されてしまう可能性があるという重要な知見も得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
白金族粒子の凝集状態におけるスラリー粘度を評価するとともに、感度評価(白金族粒子の配置、物性値の影響など)を行い、数値解析を用いて溶融ガラスの粘度式を新たに提案する。白金族粒子の状態が流下や炉内保有量に及ぼす影響を評価する。
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Research Products
(3 results)