2013 Fiscal Year Research-status Report
イオン液体含有疑似固体電解質を利用した全固体型多価イオン金属二次電池の開発
Project/Area Number |
25630437
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宇根本 篤 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 講師 (10551525)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | イオン液体 / 疑似固体電解質 / 蓄電池 / 金属負極 / 硫黄正極 / 高エネルギー密度 / 多価イオン電池 |
Research Abstract |
本研究では,次世代型電池のひとつである全固体型多価イオンー金属二次電池への適用を目指し,従来の液系よりも安定かつ安全で取り扱いの簡便な固体電解質の開発を目的とした.本研究課題では,イオン液体が固体表面において「疑似的に固体化される」という特異な界面現象を利用した電解質を固体電池へ適用した.今年度は先ず,フュームドシリカナノ粒子表面へ,液相法によりイオン液体を高分散させる手法にて疑似固体電解質を得た.組成を最適化することにより30-200マイクロメートルで厚みを制御した.他方,多価イオン電池において,その高エネルギー密度化に寄与し得る正極の候補材料として硫黄を選択した.疑似固体電解質開発や硫黄の複合化手法の妥当性を検討するため,モデルとしてリチウムイオン電池の構築に取り組んだ.熱処理により以下の2つの手法で硫黄と炭素系材料のナノ界面構造制御を施した.(1)様々な炭素材料表面へ硫黄を高分散する手法と,(2)高分子側鎖に均一固定化する手法を検討した.(1)については,複合化する炭素材料や疑似固体電解質に含まれるイオン液体の組成及びその厚みを制御した.窒素吸脱着測定やTEM観察/EDX測定を通じ,所望の正極複合体が得られたことを確認した.同時に,疑似固体電解質とこれら炭素材料のなじみが良く,良好なイオン/電子輸送界面が形成されていることがわかった.単セルを構築して電池評価を行ったところ,従来の液体系電池に匹敵する高い硫黄利用率とサイクル特性を実現することができ,硫黄正極と疑似固体電解質の併用が有用であることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
硫黄正極と炭素のナノ界面構造制御や,疑似固体電解質の組成などの最適化を,当初の計画通り行えた.これらを利用した電池は良好に動作しており,本研究で提案したコンセプトの有用性を実現することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
良好に電池動作することを確認した一方で,多価イオン金属電池の応用に向けては,イオン輸送速度の向上や界面での電荷移動速度の遅さを克服する必要があることがわかった.次年度以降は,添加剤の導入などを通じて,電解質組成を最適化することでこれらの問題の解決に取り組む予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は,今年度に計画していた項目を効率良く進めることができたために発生したものである. 次年度使用額は,新たな固体電解質や電極材料開発に充てて幅広い組成での研究データの拡充に充てる.
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Research Products
(5 results)