2014 Fiscal Year Research-status Report
超エコで実用高トルクを有する光合成バイオ・メカニカル複合モーターの先駆的研究開発
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25630444
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
藤田 和孝 宇部工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (10156862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島袋 勝弥 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (70618446)
三留 規誉 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (90431981)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 光合成運動微生物の培養 / 光合成運動微生物の好波長 / 光合成運動微生物の遊泳速度 / 微生物単体の推進力 / 微生物軍体の推進力 / モータ |
Outline of Annual Research Achievements |
光合成運動微生物は鞭毛を使った移動等の動物的性質を持ちながら同時に植物として葉緑体を持ち光合成を行う.これまで運動微生物を制御しトルクを取り出した例は報告されているが,それらはいずれも微小であり,単に回転運動を系外に取出して見せるところまでであり,実用に耐えるトルクを有するモーターを作るには至っていない. そこで本研究の最終目標は光合成運動微生物を光によって制御することで遊星歯車装置を動かし,これを通じて外部に仕事をさせられる程度のトルクを有するモーターを製作することにした.そのために,まず光合成微生物の中から光への追尾性が報告されているクラミドモナスとユーグレナ(ミドリムシ)を選定して,それらの①培養技術を習得・確立し、②有効な波長の光追尾性を光学顕微鏡下において目視で確認し,遊泳速度の測定を行うとともに,③単体および群体の推進力を走査プローブ顕微鏡(SPM)を用いて実測した. ①の培養技術は習得・確立した.②ユーグレナの遊泳速度は,薄紫色(365nm),青色(450nm),緑色(530nm)橙色(590nm),赤色(660nm),ハロゲンランプで試した結果,橙色,赤色,青色の順に遊泳速度が速かった.橙色の最大遊泳速度は142μm/sec,平均遊泳速度は101μm/secであった.クラミドモナスの遊泳速度は,文献より赤色が遅く,青と緑色が良いことが分かっており,約150μm/secであった.その光追尾性は極めて明瞭であることを目視で確認した.③青色の光に向かうクラミドモナス単体の推進力はパルス的瞬時値で最大約2.4nN,平均値で0.78nN,約1mm^2の透明板を突き上げ続ける軍体の平均値は約6nNであった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書のH26年度の実施計画では,「光を追尾する性質を利用して運動微生物が円盤を回す機械装置の設計・製作」までを予定していた.しかし,H25年度にSPMの故障等で,光合成運動微生物の推進力を測定するまでには至らず予定よりも遅れた.H26年度は,上記の「研究実績の概要」で記したとおり,目視で明瞭な光追尾性を示す光合成運動微生物を見出せ,その単体,また群体としての継続的な推進力をSPMを改良して測定するところまで漕ぎ着けることが出来た.この推進力と遊泳速度データを元に運動微生物によって運動する機械装置の設計が可能となり,現在,リニアな動きをするモータ,薄い円盤状の回転するモータまで,設計中である.H26年度は製作までには至らず,やや遅れているが,H27年度は早期に設計を完了できる見込みであり,製作を急いで挽回し,「研究目的」を達成したい.
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Strategy for Future Research Activity |
微生物を光誘導するグラスファイバー線のリニアな運動を実現し,これを発展させて回転する円盤を作製し,最終的に,起動トルク1μNmを有する微小増減速遊星歯車装置を動かせる回転円筒バイオモータを実現する. さらに,光を当て,競争させて,速い微生物を選抜し,これを培養して増やすことを繰返し,ヘラクレスな微生物群体を作製する.
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Causes of Carryover |
運動微生物の群体としての発生力測定装置を既存のSPMに透明板と照明(青と緑のLED)のみを加えることだけで比較的安価に実現できた.また,この測定装置による測定結果を用いて運動微生物を駆動源とする回転機械の設計製作が漸く可能となり,今から実施する.この製作には,試行錯誤的要素も入り,一番費用がかかるため,費用の一部を次年度に繰越した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度当初から,運動微生物を用いた回転機構の設計・製作に取り掛かる予定であり,翌年度分として請求した助成金とあわせて,速やかに執行する予定である.
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Research Products
(1 results)