2014 Fiscal Year Annual Research Report
単一神経終末エレクトロポレーションによるシナプス前ギャップ結合の機能解析
Project/Area Number |
25640001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
神谷 温之 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10194979)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳・神経 / 神経科学 / 生理学 / 薬理学 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳内での神経細胞間の同期的な活動にはギャップ結合を介した電気的・化学的な細胞間情報伝達が重要な役割を担う。これまでの研究で、海馬の同期性神経活動にグリア細胞であるアストロサイト間のギャップ結合と抑制性細胞間のギャップ結合が関与することは知られているが、興奮性細胞間のギャップ結合の機能的意義については不明な点が多い。本研究では、海馬苔状線維シナプスにおいて脳内で初めてみつかったシナプス前部での2つのギャップ結合、すなわち、海馬苔状軸索間の「軸索間」ギャップ結合と、苔状線維神経終末とCA3野細胞間の「シナプス間」ギャップ結合の様式と機能的意義を探求することを目的とした。2年目の本年度は、軸索間ギャップ結合の存在を証明するために単一神経終末に蛍光色素を導入し、複数の軸索間でギャップ結合が存在する可能性について形態学的に検討を行った。近赤外線微分干渉法により海馬スライス標本の苔状線維線維終末を視認し、エレクトロポレーション(電気穿孔)法により単一苔状線維に蛍光色素を導入し、軸索間の色素カップリングが見られるか否かについて検討を進めている。この実験を進める中で、視認した苔状線維終末からガラス電極を通じて、極めて分離のよい単一軸索終末の活動電位(軸索終末ユニット記録)が可能であることが判明した。苔状線維は中枢軸索に典型的な通過型軸索を構成することから、通過型軸索における活動電位伝播の制御機構を検討する有用な実験系と考えられた。単一軸索終末からユニット活動電位を記録し、通過型軸索における興奮伝播の安全率や興奮伝播の制御機構に関する解析を進めた。苔状線維軸索の多くは安全率の高い高信頼性の神経情報伝達を行なっていることが確認された。
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