2014 Fiscal Year Annual Research Report
マウス音声コミュニケーションの神経生物学的基盤の解析
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25640002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大隅 典子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00220343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲田 仁 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60419893)
吉崎 嘉一 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50393161)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Pax6 / 精母細胞 / パキテン期 / XY body / ヒストン修飾 / 超音波発声 |
Outline of Annual Research Achievements |
齧歯類の生後期にみられる超音波発声(USV)は、母子間のコミュニケーションツールであると考えられている。我々はこれまでに、神経発生に重要な転写制御因子Pax6変異ラットにおいてUSVの減少を報告した。昨年度の成果において、Pax6の異常は母子分離に伴う仔マウスのUSVに対して十分ではなく、父親マウスの加齢に伴う変化を修飾することにより、仔マウスのUSVに影響を及ぼすことが示唆されており、その影響は母方よりも父方由来であることを見出している。 そこで本年度は、精原細胞および精母細胞、精子におけるエピゲノム変化について生化学、免疫組織学的手法を用いて検討した。その結果、(1)Pax6の精巣における発現については、これまでまったく報告が無かったが、今回、転写制御因子であるPax6が精子形成過程においてダイナミックな発現・局在変化を示すことを明らかにした。具体的には、Pax6は精粗細胞の核において発現しているが、初期精母細胞においていったん発現が消失する。その後、パキテン期の精母細胞において、徐々にXY bodyに集積し、さらに続く段階において核全体に強く発現した後、発現が弱まり、円形spermatidsに発現が残るが、精子では発現が認められなかった。この発現パターンについて、J Anatomy誌に論文発表した。(2)精母細胞におけるエピゲノム変化に関して、ヒストンのメチル化に焦点を絞って解析をし、いくつかのヒストン修飾がPax6変異マウス精母細胞において変化していることを見出した。また、そのうちのいくつかの修飾は、精子まで持ち込まれていることが確かめられた。 以上のことから、Pax6はマウス精子形成過程においてヒストン修飾に関わり、その結果として、次世代個体の脳神経系の発生・発達や、その結果としての行動の発露に関わることが示唆された。
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