2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25640003
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
柴崎 貢志 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20399554)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | TRPV4 / 脳内温度 / てんかん / TRPチャネル / 神経 / ニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
脳内局所の温度が神経活動に依存し、ダイナミックに変動していることを研究実施者が独自に開発した温度測定システムを用いた記録で明らかにした。てんかんのような病態では脳内において温度センサー・TRPV4が過剰に活性化し、神経興奮が異常になることが痙攣を引き起こす一因であると考えられた。カイニン酸投与により、てんかんモデルマウスを作製した。このマウスのてんかん原性域に研究実施者が独自に開発した局所温度可変システムを埋め込み、てんかん原性域をTRPV4の活性化温度閾値である34度を下回る30度程度まで冷却すると、てんかん放電をほぼ消失させることが出来た。この実験の際、野生型とTRPV4欠損マウスで、てんかん原性域の冷却効果を比較したところ、脳冷却による治療効果は野生型マウスで有意に大きかった。つまり、脳冷却効果が脳内温度で恒常的に活性化しているTRPV4阻害を介するものであることを見いだした。この脳冷却後に、脳切片を作製し、冷却による組織損傷の有無を調べたが、今回実験に用いた30度程度の冷却では脳組織にはなんら組織損傷や細胞死は認められなかった。一方、冷却中に局所温度可変システムを加温モードにするとてんかん放電は増悪化を示したことから、脳内温度環境の上昇はてんかん発作に対して悪影響を与えることが明らかになった。てんかんモデルマウスではない正常の野生型マウスにおいても局所の脳内温度上昇を引き起こすことで異常脳波が出現した。これらのことより、脳内温度環境の恒常性維持と正常なTRPV4恒常的活性化が脳機能に重要であると考えられた。
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Research Products
(6 results)