2013 Fiscal Year Research-status Report
神経幹細胞の分化制御におけるJmjCヒストン脱メチル化酵素群の機能解析
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25640012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堅田 明子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00615685)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / ヒストン脱メチル化酵素 / 神経幹細胞 / 細胞分化 |
Research Abstract |
我々は、ヒストン脱メチル化酵素であるJmjCファミリー遺伝子群に注目し、発生段階依存的な神経幹細胞の分化様式について、その分子メカニズムを解明することを目的としている。JmjCファミリーに分類されるヒストン脱メチル化酵素は、メチル化反応の際に酸素分子を基質として用いるため、酵素活性が細胞内酸素濃度によって制御される。胎生動物の脳内は一般的に低酸素状態にあるため、in vitroにおいて神経幹細胞の細胞分化を誘導、その分子機構を解析する際には、生体を模した酸素濃度で行うことが重要であると考える。これまでに、ES細胞においてニューロン分化の5日後から、ヒストンH3K27の特異的脱メチル化酵素であるJMJD3のmRNA発現が上昇することから、これが神経幹細胞分化に与える影響を解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経幹細胞分化におけるJmjd3の機能を生体内の酸素濃度に注目して解析するために、胎生14日目のマウス終脳から神経幹細胞を単離し、低酸素 (2%) もしくは通常酸素 (21%) 条件下において、Jmjd3の発現をRNA干渉法により減弱させた後、アストロサイト分化をLIF (Leukemia Inhibitory Factor) を添加することで誘導した。その結果、通常酸素濃度条件下ではコントロールとJmjd3ノックダウン間で神経幹細胞の分化傾向に差は認められなかったが、低酸素濃度条件下でJmjd3をノックダウンした場合、アストロサイト特異的遺伝子であるGFAP の陽性細胞が減少し、アストロサイト分化が抑制されることが示された。すなわち、Jmjd3が生体を模した低酸素環境において、神経幹細胞分化のアストロサイト分化を促進することを突き止めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、研究室での評価系が確立していた胎生14日齢の神経幹細胞を用いて、アストロサイト分化の解析を行ったが、今後は胎生11日齢の神経幹細胞を用いてニューロン分化、特にこの時期の神経幹細胞からは産生が難しいSatb2陽性の浅層ニューロンの産生効率について、Jmjd3に着目して評価する。既に、胎生11日齢の神経幹細胞を低酸素環境下で培養、分化誘導を行った際に、Satb2陽性ニューロンへの分化効率が上昇する結果を得ている。そこで、Jmjd3をノックダウンした際のニューロン分化サブタイプの評価を行うことで、Jmjd3の発生時期特異的な機能について推察する。また上記の、in vitroの系と並行して、子宮内電気穿孔法を利用することで、生体におけるJmjd3の機能解析を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
4月より九州大学へ異動となったため、動物実験の開始が遅れ、研究計画の一部を変更した。 現在では、動物実験のための施設・動物の準備が整ったため、今年度に優先的にこれらの実験を遂行する予定である。
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[Journal Article] Goofy coordinates the acuity of olfactory signaling.2013
Author(s)
*Goto T., *Sato Y., *Katada S. (*equally contributed), Kinameri E., Yoshihara S., Nishiyori A., Kimura M., Fujita H., Touhara K., Reed R., & Yoshihara Y.
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Journal Title
Journal of Neuroscience
Volume: 32
Pages: 12987-996
DOI
Peer Reviewed
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