2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25640017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岩井 陽一 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (40332332)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | グリア光遺伝学 / グリア-ニューロン相互作用 / アストロサイト / 運動学習 / グリア由来可塑性因子 |
Research Abstract |
アストロサイトはG蛋白質共役型受容体を介して多様な神経伝達物質や神経調節因子に応答し、細胞内カルシウムを上昇させる。アストロサイトの脳学習における機能を直接的に検証するために、運動学習期にアストロサイトを光活性化することを目指してきた。今年度は、1.光感受性のG蛋白質共役型受容体(OptoXR; Airan et al. 2009)をアストロサイト特異的に発現するマウス系統の確立、2.光活性化時のカルシウムイメージング、3.光活性化時の神経活動の記録、4.運動学習系の立ち上げを行った。 1.アストロサイト特異的な発現を示すGLT1遺伝子のBAC DNAにOptoXR-EYFPのcDNAを挿入したコンストラクトを受精卵に注入し、トランスジェニックマウス(GLT1-OptoXRマウス)を10系統樹立した。全ての系統においてEYFP蛍光をアストロサイトに確認した。ニューロンおよび他のグリア細胞マーカーの抗体染色実験から、4系統がアストロサイト特異的にEYFPを発現していることを確認した。各々の系統でEYFPの発現量および陽性のアストロサイトの割合が異なっていた。 2.上述のGLT1-OptoXRマウス4系統について生体内カルシウムイメージングを行った。いずれの系統においても青色LEDを照射した直後に、EYFP陽性のアストロサイト内でカルシウムが顕著に上昇した。このカルシウム上昇はTTXで神経活動を阻害しても誘導できた。 3.麻酔下でGLT1-OptoXRマウスの大脳皮質から細胞外記録を行った。これまでのところLED照射後の細胞外電位に大きな変化を検出できていない。 4.LEDを装着した野生型マウスに餌取り訓練を課した。3秒おきにLED照射してもLED未装着の野生型マウスと同程度の運動能を獲得できることを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
GLT1-OptoXRマウスを光活性化する条件を最適化するまでに時間を要した。研究開始当初は、光照射後にアストロサイト内でカルシウムが上昇するものの、カルシウム上昇のタイミングが一定ではなかった。様々な照射条件を試し、照射10秒以内に顕著なカルシウム上昇を再現性よく誘導できるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、アストロサイトの光活性化時に放出される因子の同定を目指す。これまでの実験ではアストロサイトの光活性化時に神経活動の変化を検出できていない。今後はイメージング法や生化学的手法も用いて、放出される因子を追究する。並行して、シナプス可塑性を誘導する条件下でアストロサイトを光活性化し、シナプス伝達に変化が生じるかを電気生理学的に検討する。続いて、運動学習の特定の時期にアストロサイトを光活性化し、運動能の向上を試みる。最終的に、アストロサイトから放出される因子の機能を薬理学的に調べたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
GLT1-OptoXRマウスを光活性化する条件を最適化するまでに時間を要し、研究が少し遅れている。 次年度も引き続き、イメージング法や生化学的手法を用いて、光活性化時にアストロサイトから放出される因子の同定を目指す。
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