2014 Fiscal Year Annual Research Report
摂食制限が記憶を亢進する分子メカニズムの解明と、その有用性の提唱
Project/Area Number |
25640018
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平野 恭敬 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40580121)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ショウジョウバエ / 記憶 / CREB / CRTC / 摂食制限 |
Outline of Annual Research Achievements |
私はこれまでに、ショウジョウバエをモデル生物として用い、摂食制限、およびそれに伴う転写因子CRTCの活性化が記憶形成を促進することを見出していた。これを発展させ、本研究では、CRTC依存的な摂食制限状態が記憶障害を改善できる可能性の提示、さらに、CRTC経路の活性化を介して記憶障害を改善させるような薬理標的の提案を目標とした。 1:先天的、および後天的記憶障害の改善における、摂食制限の有効性。 摂食制限が記憶障害変異体を改善するか検証したところ、cAMP合成に関わるdnc、rut変異体の記憶障害が改善されることがわかった。cAMP経路の変化による記憶障害には、摂食制限、CRTC活性化の薬理処置が有用であると考えられる。一方、その他の記憶障害モデルとなる変異体の記憶障害を改善しないことがわかった。これら変異に関しては、CRTCが記憶亢進する機序に強く関係するために摂食制限による記憶亢進がみられなかったと考えられる。 また、摂食制限、およびCRTCの活性化は若齢体の記憶を亢進する一方、ハエの加齢性記憶障害を悪化させることがわかった。老化と記憶障害を変化させる体内環境と脳内変化に迫るきっかけとなることを期待している。 2:CRTCの記憶亢進における上流因子、および3:CRTC上流因子の操作による記憶亢進。 インスリンシグナリングとCRTCを仲介する因子として、AKT、SIK3を含む複数のキナーゼが示唆されている。これらが記憶亢進におけるCRTCの上流因子であるか、遺伝学的に検証した。各キナーゼの恒常活性化型変異遺伝子の導入、あるいはノックダウンにより、摂食制限依存的な記憶亢進が変化するかを調べた。しかしながら、これまでに摂食制限に影響を与えるキナーゼの同定には至っていない。今後、CRTCを制御するキナーゼを同定するため、網羅的RNAi系統を用いたスクリーニングを行うことを検討する。
|
Research Products
(1 results)