2013 Fiscal Year Research-status Report
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25640026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
有賀 純 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 客員研究員 (10232076)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 扁桃体 / 転写因子 / 遺伝子ターゲッティング / 攻撃行動 / 行動異常 / 神経発生 / 神経回路形成 / タンパク質分解制御 |
Research Abstract |
1. Zic2条件変異マウスを用いた扁桃体海馬野を欠損するマウスの攻撃行動の解析。 これまでに大脳皮質、海馬、扁桃体の一部でZic2を欠く個体(Zic2外套条件変異ホモ個体)の恐怖条件づけ行動を開始した。同時にこれらの個体を用いて扁桃体海馬野のZic陽性細胞に関する組織学的解析、分子マーカー解析を行った。その結果、扁桃体海馬野における有意な形態の変化が観察され、Zic2がこの領域の発生に重要な役割を示すことが明らかになった。神経回路レベルでどのような異常が起きているのかを明らかにするために、異動先の長崎大学でで新たなマウスのコロニーを起ち上げる作業を進めている。 2. Zic2分解促進因子欠損マウスとZic2発現低下マウスを組み合わせた場合のZic2発現レベルと扁桃体海馬野のサイズと攻撃性の変化。 これまでの申請者らの研究グループでの解析から、Zic2を分解するE3ユビキチンリガーゼRinesが同定されている(Ogawa et al., Genes to Cells, 2008)。Rines欠損マウスの解析を進めた結果、Rinesが情動行動の制御に重要な役割を持つことが明らかになった(Kabayama et al., J. Neurosci. 2013)。特に親和性社会行動が増強し、攻撃行動が減弱する傾向が認められたことはZic2発現低下マウスに認められた攻撃行動の増強(Hatayama et al., Sci. Rep. 2011)とも併せて、非常に興味深い結果であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Zic2の分解を制御する可能性があるRines欠損マウスについて、攻撃行動に関連した行動異常が観察されるという発見があり、それを誌上発表できた点で大きな成果と考える。理化学研究所から、長崎大学への異動に伴い、一時的にマウスのコロニーと閉じざるを得ず、計画の進行に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
大脳皮質、海馬、扁桃体の一部でZic2を欠くマウス(Zic2外套条件変異ホモ個体)の攻撃中枢に神経線維トレーサーを注入した場合の神経回路投射パターンの変化を計画している。攻撃性をつかさどると予想される神経回路の投射パターンの解析を行う。まず視床下部後部の攻撃中枢への逆行性トレーサーの注入を行い、その結果を見たのちに、扁桃体海馬野の順行性・逆行性トレースを試みる。その他に、前頭前野、前帯状皮質、海馬、中核核、中脳中心灰白質などへの投射も確認する。以上の解析から扁桃体海馬野の細胞が攻撃性をつかさどる神経回路に参加しているのか、Zic2の発現状態の変化が神経回路の形成にどのような影響を与えるのかを検討する。 マウスコロニーの再起ち上げを円滑に進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品の購入には不適当な少額の端数が生じた。 次年度に使用する。
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