2013 Fiscal Year Research-status Report
神経活動依存的遺伝子発現制御の1分子イメージングによる解析
Project/Area Number |
25640035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅生 紀之 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (20372625)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 神経科学 / 遺伝子発現制御 / 神経活動 / 1分子イメージング |
Research Abstract |
遺伝子発現において、細胞核内の染色体やクロマチン、転写因子といった分子の動態は、3次元空間で高度に制御され神経細胞の振る舞いや分化状態を決定・維持する重要な要因になる可能性が考えられる。神経細胞において電気活動に依存した遺伝子発現は神経回路形成とその可塑的変化に重要であるが、その分子メカニズムに関しては不明な点が多く残されている。本研究では、転写を染色体の遺伝子座と転写因子を含む様々な核内因子の相互作用としてとらえ、1分子レベルの蛍光イメージングで可視化し、詳細に3次元的な核内空間配置と動態をとらえることで新たな観点から神経細胞分化の原理・法則性を明らかにすることを目指している。さらに遺伝子座に位置する初期転写産物pre-mRNAを定量的にイメージングすることで、転写因子の動態と転写活性を結び付け、電気活動に応答した転写の場の形成過程を明らかにする。 本年度は、(1)転写活性に依存した核内因子の動態を1分子レベルで明らかにすることを目指して、神経活動依存的な遺伝子発現を制御することが知られる転写因子CREBの電気刺激に応答した動態解析を進めた。薬理学的な手法に加えて、光遺伝学の技術としてチャネルロドプシンを利用しての大脳皮質神経細胞の刺激と1分子イメージング解析を同時に行うことに成功した。その結果、刺激前後のCREBの動態を定量的に解析することができた。(2)DNA上での転写複合体形成のダイナミクスを明らかにすることを目指して、CREBとその共役因子に異なる波長の蛍光標識を行い、同時に1分子イメージング解析することでその相互作用をリアルタイムで明らかにすることを試みた。これまでに、大脳皮質神経細胞内でCREBと共役因子を異なる蛍光色素で標識し1分子イメージング解析することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究を進めていく上で計画していた神経細胞における転写因子CREBの電気刺激に応答した動態の解析を、光遺伝学の手法と組合わせることでより詳細に進めることが出来た。また、転写共役因子との相互作用の解析に向けて発現ベクターの作製を進め、神経細胞内で発現させ1分子レベルで観察することが出来たので次年度に向けて概ね目的を達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として現在の研究を継続すると共に、生きた神経細胞の核内で転写の場と転写量の定量的ライブイメージングを進める。これまで進めてきた1分子レベルの転写因子動態との同時計測により、その動態と発現量の関係性を明らかにすることが必要である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
転写の場と転写活性の定量的ライブイメージングを目指して、神経細胞の核内で転写産物の空間配置と量の計測を試みる予定であったが、計画が若干遅れていることから、それに予定していた費用を次年度で使用することとなった。 次年度に予定通り転写産物のイメージング解析の実験を行うための費用として執行する予定である。
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