2014 Fiscal Year Research-status Report
昆虫フェロモン受容体を利用した新規神経回路活動操作技術の開発
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25640037
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
小林 和人 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90211903)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 昆虫フェロモン / 興奮性イオンチャネル / 化学遺伝学 / トランスジェニックマウス / 青斑核 / 学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳機能を媒介する神経機構を理解するためには、神経回路を構成する特定のニューロンの行動生理学的な役割の解明が必須である。これまで、目的のニューロンの機能を改変するため、さまざまな遺伝子操作技術の開発が進展してきた。本研究では、昆虫フェロモン受容体を利用して、特定のニューロンの活動を興奮性に制御する新規の遺伝学的技術の開発に取り組む。ショウジョウバエより単離されたionotropic receptor (IR)は、フェロモン依存性のイオンチャネルを形成する。これらのうち、IR8a/IR84a複合体は、フェニルアセトアルデヒドあるいはフェニル酢酸に反応する受容体を形成する。本年度は、in vivo電気生理におけるフェロモン応答をさらに確かめるとともに、青斑核の活性化の影響を行動レベルで解析する。このために、味覚嫌悪反応実験を用いて、条件付け刺激にも用いられた味覚物質を口腔内に導入し、嫌悪反応が誘発されるまでの潜時を測定した。リガンドとして、フェニルアセトアルデヒドを用いて飽和濃度である0.2%溶液をCSにした場合、味覚嫌悪反応の潜時の顕著な短縮は認められなかった。もうひとつのリガンドであるフェニル酢酸を0.4%および0.6%溶液をCSとした応答を現在解析中である。また、今後、リガンドによって実際に脳内のノルアドレナリン分泌が増加するか否かについて、マイクロダイアリシスを用いて検討する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昆虫フェロモン受容体に対するリガンドは、フェニルアルデヒドとフェニル酢酸であるが、フェニルアセトアルデヒドは水溶液に0.2%でまでしか溶けなかった。in vitorでは、この濃度で高い反応性を示すが、in vivoではこの濃度での脳内投与では行動学的な相違を見出せなかった。そのため、もうひとつのリガンドであるフェニル酢酸を用い、より高濃度でのレスポンスを解析する必要性が生じた。また、行動学的な解析とともに、実際のノルアドレナリン放出量が増加するか否かの解析も重要であり、マイクロダイアリシス実験の準備を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
フェニル酢酸を用い、より高濃度(0.4%, 0.6%)の溶液を脳内投与した際の味覚嫌悪反応に対するレスポンスを解析する計画である。また、マイクロダイアリシスを用いて、リガンド投与によって脳内のノルアドレナリン放出量が増加するか否かを解析する。
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Causes of Carryover |
前述の理由で、行動実験とマイクロダイアリシスによる実験を行うため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の実験のため、消耗品(実験動物、試薬、器具類)を購入する。
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Research Products
(2 results)