2013 Fiscal Year Research-status Report
被毛パターン変異ラットを用いた反応拡散モデル実証のための実験モデル系の創出
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25640046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
庫本 高志 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20311409)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ラット / 変異体 / パターン形成 / ドパクロームトートメラーゼ / メラノサイト |
Research Abstract |
本研究では、ラットの被毛パターン変異であるhoooded変異とDownunder変異を対象に、1)hoodedラット胚、Downunderラット胚における、メラノサイトの分布を明らかにし、2)メラノサイトの挙動から反応拡散モデル方程式を導出することを目的としている。 平成25年度は、1)のhoodedラット胚、Downunderラット胚における、メラノサイトの分布を明らかにすることを目的に研究を実施した。具体的には、メラノサイト特異的にLacZ遺伝子を発現するトランスジェニックラットを作製した。メラノサイトで特異的に発現する遺伝子として、ドパクロームトートメラーゼ(Dct)遺伝子が知られている。ラットDct遺伝子のプロモーター配列は同定されていなかったので、マウスDct遺伝子のプロモーター配列を参考に、ラットDct遺伝子上流の約3.6kbをクローニングした。次いで、その下流にLacZ遺伝子をつなげたコンストラクトを作製した。このコンストラクトがメラノサイトで発現するか否かを確認するため、マウスのメラノーマ細胞株B16にトランスフェクトし、LacZ染色を実施した。しかし、ラットDct-LacZをトランスフェクトした細胞からはLacZが検出されなかった。B16株ではマウスDct遺伝子が発現しているので、この結果は、種の相違によることが示唆された。 我々の調べた限り、ラットのメラノーマ細胞株は存在していない。そこで、hooded変異をもつF344ラット胚にマイクロインジェクションし、Dct-LacZトンラスジェニックラットを作製した。 今後、これらトランスジェニックラットの胚におけるメラノサイトの分布を、hooded変異下およびDownunder変異下で検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
メラノサイト特異的に検出できるLacZ遺伝子をもつトランスジェニックラットを作製できたものの、胚のLacZ染色によるメラノサイトの分布状況の解析が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
Dct-LacZトランスジェニックラットが作製できたので、このラットをライン化し、胚におけるメラノサイトの分布状況を検討する。コンストラクトに含まれるラットDct遺伝子の上流配列のプロモーター活性をin vitroでアッセイできる系を樹立する。ラット胎児から分離したメラノサイト初代培養細胞を用いることを検討している。さらに、LacZに変わって緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子をつないだコンストラクトを作製することも検討している。Hooded変異およびDownunder変異をもつ胚におけるメラノサイトの分布状況を経時的に明らかにし、その画像データを解析することで、連携研究者と協力し、反応拡散モデル方程式を導出する。これにより、hooded/Downunderモデル系が反応拡散モデルの実証に利用できる哺乳類モデル系であることを示す。
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